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未完の物語紡ぐ大坂 全米敗退は第5章「プロセス」

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テニスの全米オープンで、大坂なおみ(日清食品)の連覇の夢は4回戦で終わった。大会直前に膝を痛めるなど万全の状態ではなかったものの、注目の15歳選手の進撃を止めただけでなく、負けた彼女をねぎらう姿が「スポーツマンシップの美しい形を示した」と米国人のハートをわしづかみにした。テニスの質、スター性ともに、確実に進化している姿を印象づけた大会だった。

1月の全豪オープンも制し、四大大会を2連勝した際、大坂がこのまま順調にトップに居続けると思った人は少ないだろう。2016年全仏、17年ウィンブルドン女王のガルビネ・ムグルサ(25、スペイン)、17年全仏女王のエレナ・オスタペンコ(22、ラトビア)は大坂同様、リスク度外視でフラット系の強打をガンガン打ち込むスタイルを前面に、若くして頂点に上り詰めた。しかし、ムグルサは世界ランキングが現在25位で、今回の全米は初戦で敗退した。オスタペンコは同77位で3回戦負け。ともに2年前の輝きが戻らない。

昨季の大坂も20歳と若さの勢いに乗り、リスクの高いショットが神がかり的に決まっていた。その強力なサーブ、タメのあるパワフルなストロークの潜在能力は高い。とはいえ、派手な強打の快感をコントロールできなければ、いずれライバルたちに攻略されてしまっただろう。そこはさすがに大坂、学習能力の高さが「ピカイチ」と言われるだけのことはあった。

ここはエースを狙って強打すべきか、緩めの球でつないでチャンスボールを待つべきか。しっかりと見極めていた。スーパーショットの数は減っても「強くなったな」と分かる。今回、昨年のような無謀に近い攻めは1回戦で散見しただけ。ミスも意図が分かるものが多かった。

ストロークとサーブというテニスの基本がしっかりしているし、いずれも一発で仕留めるパワーがある。複雑な組み立てを考えるより、無謀なプレーはせず、シンプルに攻めればいい。

「それが分かってきていた。全米はどの試合もテニスの方向性が同じで、今やろうとしていることをコートで表現できていた。世界1位であることのプレッシャーにも向き合えるようになった」。大坂を16歳の頃から見てきた日本テニス協会ナショナルチーム女子の吉川真司コーチは話す。

世界1位という立場はどんなものか? 「知識として知っていても、実際、全選手に全力でこられるプレッシャーがこれほどとは思わなかった。『テニス界の顔』として求められる仕事もこんなに多いとは思わなかった」と吉川。練習が終わっても会場でのイベントにかり出され、自由時間は減る。試合では相手に研究され、立ち上がりから全力でぶつかってこられる。ロジャー・フェデラー(38、スイス)、ラファエル・ナダル(33、スペイン)、セリーナ・ウィリアムズ(37、米国)ら「絶対王者」と言われる人たちが、「どの試合も難しい。簡単な相手などない」と常に真顔で言うのもうなずける。

大坂も約半年かけて分かった。「たとえ自分がベストの日でなくても、相手はベストプレーをしてくる」。今大会、力量差のある相手に全力でぶつかりはしないが、要所はきっちり締めるプレーができていた。

1位という立場はつらくても、誰しも一度ついたトップの座は譲りたくないもの。テニスの世界ランクは"敵失"で上昇することもあるので、1位に固執しすぎることに意味はないと分かっていても、だ。「この大会でどれくらいポイントを稼げば1位にいられるとか、いろいろ考え過ぎていた。自分にプレッシャーを掛け過ぎていた」。頭が疲れて、やっと分かった。「結局、結果は自分でコントロールできない。いいプレーをしたい。そうすればトップにいられるわけだから。そうしたらテニスがまた楽しくなってきた」

全仏では3回戦敗退後にコートからそのまま向かい、初戦敗退したウィンブルドン選手権では途中で泣きながら退場した記者会見場。全米では「見ての通り、シャワーを浴びてからきた」とにっこり。「負けて悲しいけれど、私は成長したと思う。1試合の結果にこだわりすぎなくなった。今年の夏はいいプレーができた」。窮地で泣きそうな顔をしたり、コート上でかんしゃくを起こしたりといったことはほぼなく、ロジャーズ杯、ウエスタン・アンド・サザン・オープンでともに8強。全米は16強止まりでも「この夏一番の出来」とプラス面を強調した。

4回戦で戦ったベリンダ・ベンチッチ(スイス)はパワーはさほどなく、ショットの読みで勝負する。大坂があまり得意としないタイプで3連敗とはなったものの、攻略の糸口はつかんだ負け方だった。そもそも膝が本調子でないなら「もっと攻撃的にいくか、やや緩めのボールを打つか。トライすべきだったかな」。リスク承知でパワーで押すか、緩い球でラリーの速度を落として好機を待つべきだったかもしれない。

「負けた差はほんの少し。2人は同じ年齢でも、早熟のベンチッチはなおみ戦が完成形に近いと思うけれど、なおみはまだまだ積めるものがある」と吉川。最近ずっと取り組んでいるスライス、ドロップショット、ロブ、ボレーといった小技の精度、ゲーム運びの質を上げることだろう。

昨年の優勝後、栄光もどん底も味わった。今年の1回戦を終え、この1年をどう表現するか?と聞かれ、大坂は「未完の本といったところかな。結末は未定だけれど、章はある」と答えていた。全米の戦いが終わり、この章は「第5章」であり、タイトルは「プロセス」と明かした。考えてみれば大坂はトップ10入りしてまだ1年の21歳。トップ選手としてのキャリアは始まったばかりである。

(原真子)

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