トヨタ、英工場一時停止へ EU離脱の混乱に備え
【ロンドン=佐竹実】トヨタ自動車は30日、英国が欧州連合(EU)からの離脱を目指す10月末の直後に、英国生産を一時停止することを明らかにした。部品の在庫も数日分増やして混乱に備える。ジョンソン首相が議会を閉会するなどして「合意なき離脱」の可能性が高まったことを受けた措置。自動車産業の生産活動が滞れば、英経済全体に悪影響を与えそうだ。
トヨタは英中部のバーナストン工場について、10月末のEU離脱の翌日である11月1日を休みとする。土日を挟んで、4日から通常通り操業する予定だ。「サプライヤーから部品が納入されるかどうか分からないため1日休んで様子を見る。操業再開は状況次第」(広報担当者)という。
トヨタは大陸欧州から部品を輸入して英国で自動車を組み立て、EUなどに輸出している。EUとの合意がないまま離脱すれば大陸との間で関税が復活するほか、物流が滞って自動車生産に影響する。通常は、在庫を持たない「ジャストインタイム方式」で生産しているが、物流の混乱に備えて部品在庫も増やした。
英国の自動車産業は年間約150万台を生産しており、半分をトヨタや日産自動車などの日本勢が占める。英自動車工業会は「合意なき離脱はあり得ない選択肢」と繰り返し訴えてきたが、ジョンソン政権は合意があってもなくても10月末に離脱するという姿勢を変えていない。