あおり運転厳罰化へ 国家公安委員長、道交法改正目指す
危険な「あおり運転」が問題化していることを受け、山本順三国家公安委員長は30日、閣議後の記者会見で「厳罰化を含め、違反の規定のあり方について検討したい」と述べ、道路交通法の改正を目指す考えを明らかにした。警察庁関係者によると、早ければ秋の臨時国会への改正案提出も視野に作業を進める。
山本氏は記者会見で、あおり運転を「意図的に危険を生じさせる極めて悪質な行為」とし、「厳正な取り締まりや積極的な行政処分を推進している」と強調した。
あおり運転を巡っては2017年に神奈川県で起きた東名高速道路の夫婦死亡事故や、今年8月に常磐自動車道であった殴打事件など、悪質な事例が相次いでいる。現行の道路交通法にはあおり運転自体を取り締まる規定はなく、法整備の必要性が指摘されていた。
具体的には、道路交通法にあおり運転を禁止する規定を新設する案や、高速道路などで前方の車に接近するケースで主に適用する同法の「車間距離保持義務違反」の罰則(3月以下の懲役または5万円以下の罰金)を重くする案などがある。
警察庁は18年1月に各都道府県警に通達を出し、あおり運転に対して危険運転致死傷罪や暴行罪などを含めあらゆる法令を適用して捜査を徹底するよう求めた。同庁によると、車間距離保持義務違反での18年の摘発は1万3025件で、17年の約1.8倍に増えた。