朝鮮学校側の敗訴確定 高校無償化、大阪訴訟
国が朝鮮学校を高校無償化の適用対象外とした処分は違法だとして、大阪朝鮮高級学校を運営する学校法人「大阪朝鮮学園」(大阪市)が処分の取り消しなどを求めた訴訟で、最高裁第3小法廷(山崎敏充裁判長)は原告の上告を退ける決定をした。27日付。処分を違法と判断した一審大阪地裁判決を取り消し、原告の逆転敗訴とした二審大阪高裁判決が確定した。
同種の訴訟は大阪地裁を含めて全国5カ所で起こされ、東京地裁の訴訟も第3小法廷が27日付で原告の上告を退け、確定した。ほかの3件は高裁に係属中。
訴訟では、2013年に当時の下村博文・文部科学相が朝鮮学校を無償化の対象外とした不指定処分の適法性が争点となった。
17年7月の一審判決は「教育の機会均等の確保とは無関係な政治的判断に基づいた処分で違法、無効」と判断。原告の全面勝訴を言い渡した。
しかし二審判決は、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)が学校側を指導し、北朝鮮の指導者を礼賛する記載のある教科書を使っている点を重視。「教育の自主性をゆがめる『不当な支配』を受けている疑いがある」と認定し、下村氏の判断に裁量の逸脱はなかったと結論付けた。
高校無償化制度は10年に民主党政権が導入。当初は朝鮮学校も無償化の対象とする方向で検討していたが、10年11月に北朝鮮が韓国・延坪島を砲撃したことを受けて菅直人首相(当時)が審査を凍結。文科省は政権交代後の13年2月、拉致問題などを理由に対象外とするよう省令を改正した。〔共同〕