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甘い言葉の苦い思い出 しゃべる捕手、今は少なく

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野球は「間」の多いスポーツだ。1球、1プレー、投手交代。様々な区切りにグラウンドの選手たちは言葉を交わしている。僕が若かった頃、捕手はとりわけおしゃべりだった。

すぐに思い出すのは広島の達川光男さんに阪神の木戸克彦さん。大洋の市川和正さんもよくしゃべった。木戸さんは打者に聞こえる"独り言"をずっとつぶやいていた。達川さんは独り言から始まり、だんだん打者が気になることをささやいてきた。「おまえのデータは頭に入っとる」「打ち取るプランはこんな感じや」「次は変化球でいくぞ」

最近ではダイエーなどでプレーした城島健司だ。背後でひっきりなしに「このボールでいこうかなあ。でもやっぱり打たれちゃうかなあ」などブツブツ言っている。集中できないので一度タイムをかけて「おまえ、うるさいわ!」と文句を言ったら静かになった。年長の強みだ。

「1、2、3でいけ」で強振するも…

中日から巨人に移籍した中尾孝義さんには一杯食わされた。あるとき、僕が打席に入ると「お、やっと1軍に上がってきたか。打たせてやらんとあかんな」と優しく話しかけてきた。「ありがとうございます!」と喜ぶと「1、2、3でいけ」。直球がくると信じて強振したら、マウンドの宮本和知さん(現巨人投手コーチ)が投げてきたのはチェンジアップ。バットの先に当たるボテボテの投ゴロに終わった。

球種は言っていないのだからこちらの早合点には違いないのだが、僕にすればだまされたとしかいいようがない。捕手のことなど二度と信じるものか、とほぞをかんだ。

難しいのは捕手がいつもウソをつくとは限らないことだ。達川さんは結構正直で、予告通りの球がくることが多かった。昔の捕手はベンチから「何が何でも抑えろ」と厳命されていたから、使える手はすべて使った。ウソでも本当でも、何か言われれば打者には迷いが生まれ、余計なことを考える。

当時に比べると最近の捕手はおとなしく、阿部慎之助(巨人)などもほとんどしゃべらないが、いま振り返ると「ささやき」にもそれなりの効果があったわけだ。審判も特に注意せず、捕手と打者の駆け引きを内心笑って見ていた。

本塁周辺に比べると、出塁した走者と野手が交わす会話はたわいもない。軽いあいさつや「何を打った?」「最近の調子は?」といった程度のもので、盗塁やヒットエンドランを巡る探り合いがあるわけではない。

味方同士の会話は主に守っているときだ。捕手がマウンドに行ける回数には制限があるので、流れが悪くなると内野手が投手に声をかける。間を取るのが目的だからこちらも「大丈夫か」ぐらいしか言わない。ピンチになるとベンチからコーチが出てくるが、このときもあまり細かいことには触れず「しっかり腕振ってこい」ぐらいのもの。ストライクが入らないような投手でも、試合中にきついことは言わない。

投手の反応は人によって違う。中日の山本昌さんはこちらの言葉に「そうだよな。わかった」とか「頑張る」とか答えを返すタイプだった。反対にマウンドの田中将大(現ヤンキース)は人の話を一切聞かない。無視はしないが上の空。「言われなくても分かっている」ぐらいに思っているのだろう。

時代の流れ、戦い方がスマートに

なれ合いを防ぐため、試合前に相手選手と話すのを禁じていたのは星野仙一監督だ。アマチュア時代の先輩にあいさつすることを重んじる人も少なくないのだが、僕はどちらかというと星野監督に近い。これから真剣勝負をする相手と和気あいあいとするのは好ましくないから、愛工大名電高の先輩の工藤公康さん(現ソフトバンク監督)でも近くにいたらあいさつする程度で、わざわざ探すようなことはなかった。

昔は多くの選手がその程度の認識だったと記憶しているが、最近の選手はこうしたあいさつにとても気を遣っている印象を受ける。しゃべらなくなった捕手とベクトルは反対だが、いずれも戦い方がスマートになり、礼儀正しくなった結果なのかもしれない。どちらがいい、悪いという話ではないが、グラウンドでのコミュニケーションにも時代の流れを感じるのだ。

(野球評論家)

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