ファーマフーズの機能性材料 東南アの健康需要に商機
ストレスを和らげる「GABA」や美白をサポートする「セレプロン」。ファーマフーズは食品や化粧品に混ぜる機能性の材料を開発している。米中に続いてフィリピンなど東南アジアを開拓することが最大の課題だ。富裕層が増え始め、健康意識が高まっている。事業の足場をつくる上で打つべき手は地域ごとに違い、地域の有力企業との協業が鍵になる。
フランスのダノン、米アムウェイ、台湾の統一企業。ファーマフーズ本社に、取引する世界の食品メーカーの製品が並ぶ。今後3年間はベトナムやフィリピン、タイ、マレーシアなど東南アを開拓するという。谷典子常務取締役は「経済成長で富裕層が増え、健康志向も後押しして食に安全や機能性を求める人が増えている。次世代の市場と注目してきた」と話す。
2018年7月期の海外売上高は前の期に比べ15%以上伸び、約5億6千万円。中国で伸びた。米国も堅調だが、目線は未開拓の地域にある。
東南アにはイスラム教徒が2億人以上いる。今春、マレーシアの認証機関JAKIMからGABAのハラル認証を取得する手続きを始めた。GABAは天然のアミノ酸の一種で、自然界にはありふれているが、同社は高純度の素材を大量に製造する技術を持つ。
研究開発のみ手掛けるファブレス企業であるため、ハラルの基準に抵触する原材料を見直した上で、アルコールや動物性原料を取り扱っていない日本の協力工場に製造を委託した。
東南アでは2010年にタイに進出して以来、企業との取引を中心にじわじわ販路を拡大。先行したタイやマレーシアに続き、ベトナムやフィリピンでも手応えが出てきた。
海外開拓のため、国内外の大学で農学や薬学を学んだ外国人を採用してきた。現在15人いる。「現地の需要の微妙なニュアンスや現地メーカーとの細やかな情報交換に、日本人よりも敏感に反応できる」と金武祚社長。たとえば、東南アでは肌を白く見せたい女性の求めが日本よりも強い。セレプロン入りのサプリメントや化粧品の販売が見込める。外国人社員に需要の調査や製品開発を任せる。
タイでは現地飲料メーカーとGABA入り飲料を開発中で、早ければ20年に発売できそうだ。タイ財閥のチャロン・ポカパングループとも、健康食品の共同開発の交渉を進めている。消費者への販売では、自社開発の化粧品や食品を現地の店舗に卸したり、ネット上で販売している。
海外事業が伸びれば、創薬の研究開発に資金をあてることができる。22年7月期連結売上高の目標は、19年7月期予想の3倍にのぼる300億円。長い目でグローバルな販路を築くことが好循環をつくる鍵になりそうだ。
(京都支社 山本紗世)
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