ラグビーW杯「桜の戦士」31人選出 ファン「快進撃を」
アジア初開催で9月20日に開幕するラグビーワールドカップ(W杯)に臨む日本代表31人が29日、発表された。前回は1次リーグで歴史的な3勝を挙げながらW杯史上初めて8強入りを逃した日本代表。「快進撃を見せて」「粘り強いプレーを」。この日選ばれた「桜の戦士」ゆかりの地やファンらは期待に胸を膨らませた。
所属先の東芝ラグビー部が拠点とする東京都府中市で、2大会連続で日本代表の主将を務めるリーチ・マイケル選手(30)が経営するカフェ。大のラグビーファンで、29日午後に店を訪れた元会社員、鈴木剛さん(45)=杉並区=は4年前のイングランド大会も現地で日本の試合を観戦した。
鈴木さんはリーチ選手について「ピンチの場面でタックルを決め何度もチームを救ってきた。また快進撃を見せてほしい」と闘志あふれるプレーに信頼を寄せる。
リーチ選手は15歳で単身ニュージーランドから札幌市の高校へと留学し、日本の大学に進んでラグビーの腕を磨いてきた。今や押しも押されもせぬ代表の「顔」だ。
カフェの向かいでラーメン店を営む福島泉さん(50)によると、2年前に近くの商店主ら約20人が集まる新年会があった際にはリーチ選手も出席。「一緒にスクラムしている写真をとりたい」と求められると笑顔で快く応じていたという。
31人のメンバー中、W杯初出場は21人。
ナンバー8やフランカーを務める姫野和樹選手(25)は期待される成長株の一人だ。海外選手に当たり負けしない体の強さが魅力。恩師で中部大春日丘高校(愛知県春日井市)ラグビー部監督の宮地真さん(53)は「自国開催のW杯という大舞台に選ばれ感慨深い。ここまでよく努力してきた」と喜ぶ。
代表合宿中の27日に左足首を負傷したが本番は間に合いそう。「回復力も人一倍。ケガを治して粘り強いプレーを見せてほしい」(宮地さん)
熾烈(しれつ)な定位置争いが行われてきたスクラムハーフ(SH)のポジションで初選出された流大(ながれ・ゆたか)選手(26)を熊本県立荒尾(現・岱志=たいし)高校時代に指導した徳井清明監督(52)も「彼なら絶対に選ばれると思っていた」と活躍に期待する。
高校入学直後から才能を見いだし、日本代表を目指すよう指導してきた。「『日ごろの行いを大事に』と言うと、落ちているゴミを拾うなど素直な性格。そういう真面目なところが報われたのではないか」と振り返った。
ニュージーランド出身で大阪府東大阪市に住むトンプソン・ルーク選手(38)は4大会連続でメンバー入り。頻繁に訪れるという同市の定食店「まんぷくてい」の店主、河野和子さん(73)は「ベテランとしてチームをけん引し、迫力あるプレーで活躍してほしい」と期待を込めた。
気さくな人柄のトンプソン選手は「トモさん」の愛称で親しまれ、地域の人気者。河野さんは同選手から「お母さん」と呼ばれるといい、「今や息子みたいな存在」とほほ笑む。日本代表史上、最年長での出場となるだけに「ケガにだけは気を付けて」と気遣った。