大学入学共通テスト、検定料据え置きへ 文科省方針
2021年1月に初回が実施される大学入学共通テストの検定料について、文部科学省は28日までに、現行の大学入試センター試験と同額の1万8千円(3教科以上)と1万2千円(2教科以下)に据え置く方針を固めた。国語と数学での記述式問題導入などで経費は増えるが、大学入試センターへの補助金で補い、受験生の負担を抑える。
20年度概算要求には検定料の据え置きを前提に、共通テストの関連経費50億円を盛り込む。
共通テストでは思考力や表現力などをみるため、国語と数学で記述式問題を導入する。従来のマークシート方式より採点経費が増す。英語は「読む・聞く・書く・話す」の4技能を試すために民間試験を活用するが、センターがその成績を各大学に提供するシステムの構築や運営に費用が必要となる。
ただ、受験生が最大2回まで受けられる英語民間試験は検定料が1回5800円から2万5千円程度かかり、同省内には「さらなる負担増を求めるのは難しい」との意見があった。
一方で、政府内には検定料の引き上げで対応すべきだとの見方もあり、年末の予算編成に向けて議論になる可能性がある。センター試験は検定料や成績を利用する大学などが払う利用料で運営されており、英語にリスニングを追加した06年は検定料を2000円引き上げた。
24年度には高校の新学習指導要領への対応や、コンピューターを使って解答するCBT方式の「情報1」の追加、記述式問題の拡充なども検討される。受験者が一番多い英語が民間試験に一本化されれば、検定料収入が減るといった問題もある。長期的には運営費をどうやって賄うかが大きな課題となる。