アフリカ開発、援助からビジネスに 脱・中国に商機
28日から始まった第7回アフリカ開発会議(TICAD7)で、日本は民間ビジネスを主軸とした政策を打ち出した。今後3年で200億ドル超の民間投資や80億ドルの政府系融資をめざす。巨額融資で攻勢をかける中国に対し、日本は経済改革が進むごとに融資するなど透明性で対抗する。アジアに次ぐ成長市場で国際政治で存在感があるアフリカとの関係を強める。
安倍晋三首相は28日の会議で「1世紀を超す歴史をもつ会社から新興企業まで、投資の主体には豊かなバリエーションがある」と語った。アフリカ支援の力点を政府が主体の援助から、民間企業の投資や貿易に移す。
豊富な資源や新しいビジネスが勃興するアフリカは「最後のフロンティア」と呼ばれ、成長が期待できる。国際通貨基金(IMF)によるとアフリカ(北部除くサブサハラ)の経済成長率は20年に3.6%と、アジア新興国の6.2%に次ぐ。
日本企業はアフリカ事業を拡大している。トヨタ自動車はアフリカで販売台数の2割弱を占め、シェア首位を走る。多目的スポーツ車(SUV)「ランドクルーザー」などが人気で、悪路でも壊れにくい品質やサービス網が評価されている。グループの豊田通商は6月にケニアでトヨタ車修理の1号店を設け、今後3年で12カ国60店舗に広げる計画だ。デンソーは6月、南アフリカで自動車補修部品を販売する合弁会社を立ち上げた。
日産自動車はアフリカで自動車の生産能力を22年度までに現在の2倍の約20万台に引き上げる。アルジェリアで新工場を建設し、小型トラックなど約6万台を生産する。南アフリカでは工場を拡張し、20年から新型小型商用車の生産を始める。
アフリカへの投資は欧米が先行し、日本は出遅れている。国連貿易開発会議(UNCTAD)によると、アフリカへの直接投資残高(17年時点)はフランスが首位で640億ドル。米国も500億ドル、中国は430億ドルある。日本は18年時点で約90億ドルだ。
中国は「借金漬け」との批判があるほど、アフリカに巨額の融資を行っている。米ジョンズ・ホプキンス大の調査によると、16年には300億ドル超の融資があった。アフリカ側は巨額融資での囲い込みに警戒し始めた。アンゴラは政権交代を機に融資から投資重視に移行しつつある。
日本は透明性で対抗する。国際協力機構(JICA)を活用した枠組みでは、今後3年で35億ドル分を円借款として拠出する。相手国の経済改革が進むごとに融資するプログラム・ローンを初導入するのが特徴だ。
国際協力銀行(JBIC)は今後3年で45億ドルの融資を出す。道路や橋といったインフラだけではなく、風力や地熱発電など再生可能エネルギーの開発に力を入れる。
行政当局の連携も強める。相手国の財政状況に配慮し、ガーナやザンビアに債務管理を助言する。今後はアフリカ30カ国の財政当局者にリスク研修も実施する。経済分野で実績を積み重ね、アフリカを国際世論の支持基盤としたい思惑も距離を縮めている背景にある。