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「天気の子」監督と雲研究者が語る異常気象

日経サイエンス)新海誠氏 × 荒木健太郎氏

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日経サイエンス
今夏公開された映画「天気の子」は、空のリアルな描写が話題になっている。同作には気象学者の荒木健太郎気象研究所研究官が「気象監修」として協力した。監督の新海誠氏と荒木氏に、作品の中で描かれた雲や気象について対談してもらった。

──荒木先生が「天気の子」の気象監修をされたきっかけは。

新海 2017年ごろ、天気をモチーフにしたアニメーション映画を作りたいという気持ちはすでにあったんです。ただ気象の表現は、自分たちがイメージで描いてしまうと正確さに欠けます。観客に楽しんでもらうために、専門家の意見が欲しいなと思いました。荒木さんが書かれた本「雲の中では何が起こっているのか」をたまたま読んでいて、とても面白いなと思ったので、ご連絡を差し上げました。

荒木 初めてお会いしたとき、本に付箋がいっぱいはさんであって、気象の専門用語もすらすら出てくる。相当に詳しく勉強されているなと思いました。実のところ、雲の中で何が起きているのかは、まだわからないことだらけです。映画の中にも出てきますが「空は海よりも深い未知の世界」というのは、まさにその通りです。

新海 どこまでを空と考えるかにもよりますが、仮に対流圏までとすると、高度1万メートルくらいですか。

荒木 冬だと1万メートル、夏だと1万5000メートルくらいです。

新海 1万メートル以上が地球全体を取り囲んでいるわけですから、平均すると海よりはるかに深いですね。

──荒木先生の気象監修はどのように進めたのですか。

荒木 まずストーリーがベースにあって、それに対する科学的な裏付け、整合性が取れるところは取っていこうという方式でやっていきました。

新海 ビデオコンテをお渡ししたら、荒木さんからパワーポイントのファイルを頂きました。絵のそれぞれにコメントが書いてあり、写真もいっぱい付いていて、全編にわたって細かく意見を下さいました。それをベースに、こういうふうにアレンジしようとか、判断をしながら作っていきました。そういえば、陽菜(主人公)が空の高いところに浮いてしまったりするシーンで、かなとこ雲(上部が水平になった積乱雲)を見下ろしていますが、1万メートルくらいの高度でも人間は大丈夫なんでしょうか?(笑)

荒木 確かに、ポスターのイラストだと、彼女は成層圏あたりにいますね(笑)。呼吸はできると思いますが、外気温はマイナス60度か70度くらいで、かなり寒いです。

新海 実は、上空では外気温が低いので吐く息が凍る描写はどうでしょうと荒木さんにコメントを頂いた記憶があったので、ストーリー後半で空の高いところに人物がいるときは、人の息が吐いた途端に凍ってキラキラと輝くという描写にしたんです。

──かつては世界に異変が起き、主人公がそれを救うというアニメ作品が多かったように思いますが、この作品では少し違う描き方をしていますね。

新海 気候変動が起きているというのは随分昔から言われていましたし、温暖化によって異常気象になるというのは子どものころから科学誌などで読んでいました。二酸化炭素の排出量規制とか、そのための国際会議などもありましたから、人間は何とかしていくのかなと10代、20代のころは思っていました。でも数年前から気候変動を実感するようになって、それは僕にとっては結構ショックだったんです。

昔から言われていたことなのに、結局、警鐘がそのまま現実になってしまった。人間ってそんなに賢くいろんなことを回避したりできないんだな、結構どうしようもないな、と思ったりもしたんです。それが今回の映画の発想につながっているんですが、科学コミュニティーの中ではどういう受け止め方をされているんでしょうか。

荒木 以前から気候変動や異常気象に関する研究は行われてきましたが、かなり粗い計算に基づいていたと思います。スーパーコンピューターの性能が格段に上がり、うまくシミュレーションができるようになったのは、ここ最近のことなんです。異常気象に温暖化がどれくらい影響を及ぼしているかを突き止める研究が、まさに今、進められているところです。ただ実際に人が感じている気象というのは、そういう長期の傾向とはあまりそぐわないんです。何十年も先のことはわかりませんが、新海さんが今感じられている「気象が極端になっている」というのはその通りです。時にここ何年かは、猛暑とか、西日本の豪雨とか、まさに異常気象と言えるようなことが起きています。

私は2014~15年ごろに茨城県常総市で講演したことがあって、集中豪雨に備えましょう、とお話ししたのですが、2015年の9月に関東・東北豪雨が起きて、講演した会場が全部水浸しになりました。講演に来られた方に話を聞くと、まさかそんなことが起こると思っていなかったと。「防災」というと、そのときにはやらなければいけないなと思っても、肩に力が入ってしまって、なかなか持続しません。

新海 そうですね。

荒木 持続するためにどうしたらいいかを考えると、やっぱり楽しくないといけない。日々空を見上げ、雲や空を眺めながら、楽しむために気象情報を使っていると、いざというときに防災につながります。そういう意味で、今回の映画は、いろんな人が空を見上げるきっかけになるので、すばらしいと思います。

(荒木氏が気象監修した絵コンテと対談の詳細は、発売中の2019年10月号の日経サイエンスに掲載)

日経サイエンス2019年10月号(カンブリア前夜/『天気の子』の空)

著者 :
出版 : 日本経済新聞出版社
価格 : 1,440円 (税込み)

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