トランプ氏、日本車関税「今は考えず」 交渉を評価
【ビアリッツ(フランス南西部)=河浪武史】トランプ米大統領は26日の記者会見で、日本との貿易交渉が基本合意したことを受けて、日本車への追加関税を「もし私が望めばできるが、現時点では考えていない」と回避する考えを表明した。トランプ政権は安全保障を理由に、輸入車への追加関税の発動の是非を検討してきた。日本側は自動車関税の回避を最優先して、対米交渉を進めてきた経緯がある。
トランプ氏は主要7カ国首脳会議(G7サミット)後の記者会見で、日本との貿易交渉について触れた。米政権は安全保障を理由に、輸入品に追加関税を課せる「通商拡大法232条」を自動車にも発動する検討に入っている。日本は農産品の関税引き下げなどでトランプ氏の求める市場開放に応じ、同氏は「ディール(取引)が成立したため、現時点では(追加関税の発動を)考えていない」と表明した。
ただ、日本との貿易関係は「長年にわたって日本が巨額の貿易黒字を上げており、我々にとってはバカげた一方的なものだった」と引き続き厳しく批判した。さらに「貿易交渉を通じて我が国を変えていく」と述べ、強硬的な関税政策で貿易相手国の市場開放を求める考えを強調した。
記者会見では中国との貿易協議についても触れ「中国は取引をしたがっており、合意は可能だ」と強調した。ムニューシン米財務長官が中国側と電話会談したと明かし、記者会見前に閣僚級協議を再開する意向も表明した。トランプ氏は記者団に対中政策の声明を公表すると主張していたが、記者会見で具体策を表明することはなかった。
ドナルド・トランプ元アメリカ大統領に関する最新ニュースを紹介します。11月の米大統領選挙で共和党の候補者として、バイデン大統領と再び対決します。「もしトラ」の世界はどうなるのか、など解説します。