トヨタ、中国の自動運転スタートアップと提携
トヨタ自動車は中国のスタートアップ、小馬智行(ポニー・エーアイ)と自動運転技術の分野で提携する。小馬の自動運転システムを搭載したトヨタの車両を使い、9月から公道で実証実験を始める。中国では政府の後押しもあり、自動運転の技術開発が進んでいる。トヨタはインターネット検索大手、百度(バイドゥ)とも協業を決めており、中国企業と連携を深める。
小馬が26日に発表した。トヨタが提供する高級車ブランド「レクサス」の多目的スポーツ車(SUV)に、小馬が開発した自動運転システムを搭載して実証実験する。9月以降、北京市や上海市の公道で走行させる。トヨタは初めて、中国の公道で自動運転の実験を行う。
小馬は広東省広州市に本拠を構える自動運転技術のスタートアップ。百度の米国拠点で自動運転技術の開発に従事していた楼天城氏と彭軍氏が独立し、2016年に創業した。広州市の試験区域などで自動運転タクシーを運行している。社員は約500人。米国の有力ベンチャーキャピタル(VC)などから資金を調達しており、企業価値は約17億ドル(約1800億円)とみられている。
中国は自動運転に力を入れており、習近平(シー・ジンピン)国家主席肝煎りの新都市「雄安新区」では、百度などが参加し、自動運転を核にした街づくりが進む。PwCコンサルティングは30年に中国の新車販売で自動運転車が占める割合が35%になると予測する。米国(10%)を上回る水準だ。
中国での開発体制を強化するため、トヨタは現地企業との連携を加速している。百度が主導する自動運転の開発連合「アポロ計画」への参画も決めたほか、百度と共同で自動運転バスも開発する。トヨタの移動サービス用自動運転車「イーパレット」に、アポロ計画で開発したソフトを搭載する。
トヨタが中国での研究開発体制を強化する背景には、米中のハイテク分野の覇権争いへの配慮もある。トヨタは米国に人工知能(AI)の研究子会社を持つが、米国発の技術を中国で活用することが難しくなる可能性があることから、中国では独自に開発体制を整備していく。
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