スー・チー氏、経済特区を初訪問 スズキなど視察
【ヤンゴン=新田裕一】ミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問は21日、最大都市ヤンゴン郊外のティラワ経済特区を初めて訪問し、スズキやヤクルトの工場を視察した。同経済特区は日本とミャンマーの官民で共同開発している。イスラム系少数民族ロヒンギャへの迫害問題でミャンマーが国際的な批判を浴びるなか、日本は経済分野での協力を続ける姿勢を改めて示した。
スー・チー氏は関係者との会合で「ティラワ経済特区の成功は、我々がここまでできると勇気づけるものだ」と強調した。音響機器を生産するフォスター電機、乗用車を組み立てるスズキ、8月に操業を始めたヤクルトなど4つの工場を視察し、従業員と交流した。
工業団地は2015年に開業し、これまでに109社が入居契約を結んだ。日本の開発援助でインフラ整備を進め、契約企業の約半分を日系企業が占める。すでに70社以上が稼働、約1万人の雇用創出につながった。運営会社は現地財閥などミャンマー側が51%、大手商社など日本側が49%出資する。スー・チー氏は、軍政の流れをくむ前政権下に開発された経緯などから未訪問だった。
ロヒンギャ問題で国際的に孤立するミャンマーでは中国の影響力が増している。これに対し、日米両政府は20日、ミャンマー政府などと共同で民間投資を呼びかけるフォーラムを開いた。基調講演したスー・チー氏も「経済発展のパートナーとして日本や米国の企業を迎えたい」と応じた。
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