日米、ミャンマー投資誘致で連携 中国を意識
【ヤンゴン=新田裕一】日米両政府は20日、ミャンマー政府や3カ国の商工会議所と共同で、ミャンマーへの投資を呼びかけるフォーラムを同国の最大都市ヤンゴンで開催した。イスラム系少数民族ロヒンギャの問題で国際社会の非難を浴びるなか、日米両国からの民間投資を促し、影響力を増す中国に対抗する狙いがある。
アウン・サン・スー・チー国家顧問は基調講演で「多数の困難に直面している」と認めたうえで、小売・卸売業や保険業での外資規制緩和を挙げ「経済発展のパートナーとして日本や米国の企業を迎えたい」と語った。
米国のスコット・マルシェル大使は「経済改革が進み、米国企業のミャンマーへの関心は高まっている」と強調した。ロヒンギャ問題などの人権問題への対処を求める一方、「日本と米国は世界規模で連携している」とも述べ、両国で連携してスー・チー氏が推進する経済改革を後押しする考えを強調した。
日米が連携してミャンマーへの投資を支持する背景には、中国の影響力拡大への危機感がある。中国は国連安全保障理事会などの場で、ロヒンギャ問題で非難を浴びるミャンマーの立場を支持している。外交関係者は「米国はミャンマーが中国寄りに傾くことに懸念を強めている」と話す。
フォーラムには、5月に現地工場の開設を決めたトヨタ自動車など民間企業も登壇した。米石油大手シェブロンの現地代表は「事業活動を通じて人権尊重や環境保護の見本となる」と述べ、社会課題を意識しつつ投資を継続する考えを示した。
ミャンマーの外国投資認可額は、1~6月に計23億5500万ドル(約2500億円)となり、前年同期から8割増えた。ただ年間目標の60億ドルの達成は難しく、スー・チー政権発足前に比べると低い水準が続いている。
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