香港情勢に「憂慮」 河野氏、対話による沈静化求める
【北京=地曳航也】河野太郎外相は20日、北京郊外のホテルで中国の王毅外相と45分間会談した。香港の「逃亡犯条例」改正案をきっかけとする抗議活動に関し「最近の香港の情勢について大変憂慮している」と伝えた。そのうえで「平和的に対話を通じて早期に問題が沈静化することを期待する」と語った。会談後、記者団に明らかにした。
香港情勢は河野氏が提起した。デモが常態化し、現地の日本人の安全を確保する必要性が高まっているためだ。中国政府がデモを武力鎮圧することへの国際的な懸念も強まっている。河野氏は王氏に「『一国二制度』のもと、自由で開かれた形で香港が繁栄していくことが重要だ」と訴えた。
日本政府関係者によると、王氏は香港情勢について中国側の立場を説明した。
両外相は日中関係改善の流れを確実にするため、首脳往来の継続を確認した。習近平(シー・ジンピン)国家主席の来春の国賓としての来日に向け準備を加速することを申し合わせた。
王氏は冒頭で「中国と日本の関係は双方の一致した努力により全面的に改善を遂げている」と強調した。河野氏は「来年の春に向け、2国間関係の互いの関心事項について、建設的な動きをつくり出していくため、率直に意見交換したい」と応じた。
天皇陛下が即位を内外に宣明する10月22日の即位礼正殿の儀に、王氏から「ハイレベルの参加」の表明があった。王岐山国家副主席が参列する方向で調整している。
河野氏は中国公船が周辺で活発な活動を続ける沖縄県の尖閣諸島や、東シナ海での中国の一方的なガス田開発を巡り、日本の立場を改めて伝えた。「実質的な問題の解決や進展があることが今後の日中関係を深めていくうえで非常に重要だ」と強調した。
河野氏は中国が2011年の東日本大震災による東京電力福島第1原発事故の後に続けている被災地産食品の輸入規制に関しても重ねて撤廃を求めた。