近畿の輸出額、7月1.7%減 韓国向けは駆け込みも
大阪税関が19日発表した7月の近畿2府4県の貿易概況によると、輸出額は前年同月比1.7%減の1兆4098億円だった。前年を下回るのは9カ月連続。中国向けの液晶パネル部材といった科学光学機器や半導体等電子部品が減少した。輸入額も0.6%減の1兆3410億円で3カ月連続のマイナスだった。
7月4日に日本政府が半導体材料3品目の韓国への輸出管理を厳しくしてから初の貿易概況で、韓国向けの輸出は5.6%減の987億円だった。減少は9カ月連続。2019年上半期(1~6月)の18.1%減よりも減少率は小さかった。輸出額全体に占める3品目の割合は大きくないうえ、輸出管理のさらなる強化を見据えた駆け込み輸出があったとみられる。
関西経済に詳しいりそな総合研究所の荒木秀之主席研究員は「韓国をホワイト国から除外する8月末以降から本格的な影響が出てくる可能性がある」と指摘する。
個別の企業では影響が出ている。森田化学工業は3品目の1つであるフッ化水素を生産し、大阪から韓国へ輸出している。輸出管理の厳格化により新規の輸出許可が下りず、8月半ば時点まで1カ月以上輸出できない状況が続いている。1カ月の輸出停止は約3億円の売り上げ減に相当するという。
中国への輸出は12.3%減の3324億円で、減少は11カ月連続だった。大阪税関は「(米中貿易摩擦による)中国の景気減速が要因」としている。半導体等電子部品や科学光学機器のほかに、半導体等製造装置も50.2%減だった。半導体製造装置大手のSCREENホールディングスは半導体材料のウエハー洗浄を手がける装置の世界首位だ。18年は中国現地の半導体メーカー向けの販売が売上高に大きく寄与したが、19年に入り現地メーカーの投資が一服。半導体市場が調整局面に入った影響に加え、米中貿易摩擦も拍車をかけた。19年4~6月期の半導体製造装置事業の連結売上高は北米向けと台湾向けが増加したものの、中韓向けが減少した影響で、前年同期比13%減の412億円だった。
中国向けの輸出の今後の見通しについて、りそな総研の荒木氏は「中国の景気悪化が進めば、対中輸出がさらに減速する可能性がある」とみる。
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