1億円選手誕生 日本バスケ変えた剛腕の一喝
リアル・スラムダンク(5)
2019年6月、帝国ホテル(東京・千代田)で167センチの青年がカメラのフラッシュを浴びていた。Bリーグ1部(B1)の強豪・千葉ジェッツ所属の富樫勇樹選手。バスケットボール史上、初めて年俸1億円となった日本出身選手のお披露目会見だった。
司令塔役のポイントガードとして日本代表の主力も務めてきた実力者は大台突破の理由を、壇上で感慨深げに話した。「この金額は夢にも思っていなかった。Bリーグがなければ到達することはなかった」
16年に誕生した男子のプロリーグ「Bリーグ」は、バスケ界に流れ込むお金を劇的に増やした。昨季のB1の1試合当たりの平均観客者数は3078人。Bリーグ誕生前年の15年度から65%増えた。クラブとリーグ、代表戦などの収入を合わせたバスケ界全体の収入も...
漫画「SLAM DUNK」(井上雄彦作)は神奈川県を舞台に、バスケットボール部に青春をかける高校生の話だった。連載終了から23年、今のリアル高校生は日本を飛び出し、米国の高校・大学に進学。ついに八村塁が米プロバスケットボール(NBA)ドラフト1巡目で指名された。甲子園を目指す球児に劣らぬ競技人口を持つ日本バスケットボールの力が目覚める時がきている。