米、台湾にF16戦闘機を売却へ 中国「断固として反対」
【ワシントン=中村亮】米国務省が台湾にF16戦闘機を売却する方針を固め、議会へ非公式に通告したことが16日わかった。複数の議会関係者が明らかにした。米メディアによると、売却するF16は66機で総額80億ドル(約8500億円)。トランプ政権は武器売却を通じて台湾との軍事的な連携を強め、威嚇行動を繰り返す中国をけん制する。台湾を「核心的利益」と位置づける中国は反発を強めそうだ。
米上院外交委員会の関係者は日本経済新聞の取材に「国務省から非公式の通告を受けた。公式な通告もまもなくあるだろう」と語った。
武器売却では国務省がまず上下両院の外交委に非公式に打診し、了承を得ると正式通告し本会議で採決することが多い。議会では台湾との安全保障協力を強めるべきだとの意見が大半で、F16売却は議会で承認される公算が大きい。
米紙ニューヨーク・タイムズなどによると、米国は新型の「F16V」を66機売却し、総額は80億ドルにのぼる。台湾への武器売却では最近数十年で最大規模だという。米国が戦闘機を台湾に売却するのは1992年以来となる。
台湾はF16の旧型機を144機保有するが、老朽化が指摘され、3月に売却を米国に要請していた。米政権は7月に戦車や地対空ミサイルなど総額22億ドルの台湾への売却を決めたばかりで、米台の連携が一段と強まる。
中国外務省の華春瑩報道局長は16日に出したコメントで「断固として反対する」とし、台湾への武器売却をやめるよう要求した。
中国の習近平(シー・ジンピン)指導部は7月下旬に公表した国防白書でも「米国の台湾への武器売却に強く反対する」と強調していた。中国海事局は7月下旬から8月上旬にかけ、台湾に近い2つの海域を航行禁止区域に指定。「軍事活動」のためと説明しており、台湾を念頭に置いた軍事演習を実施したとみられている。