イスラエル、2人の米民主党議員の入国拒否
【テルアビブ=飛田雅則】イスラエル政府は15日、米民主党の2人の女性議員がイスラエルへのボイコット運動を支援したとして、入国を拒否すると決定した。イスラエルは2017年に同運動を支持する外国人の入国を禁止する法律を可決していた。同国のネタニヤフ首相は「(議員の入国)目的は我が国に害を与えることにある」とし、決定の正当性を主張した。
入国を拒否された下院議員はパレスチナ系のラシダ・タリーブ氏と、ソマリア出身のイルハン・オマル氏。週末にイスラエルとパレスチナを訪問する予定にしている。両氏はイスラエルによるパレスチナ占領について強く非難してきた。
さらにトランプ米大統領に対する批判で知られている。イスラエルの決定の直前、トランプ氏は「もしイスラエルがオマル氏とタリーブ氏の入国を許したら、とてつもない弱さの表現になる」とツイッターに投稿。トランプ氏とネタニヤフ氏は親密な関係にある。
議員を招待したパレスチナの団体は「決定は米国の国民や議員への侮辱だ」と批判した。さらにユダヤ系ロビー団体の米イスラエル広報委員会(AIPAC)もボイコット活動は非難するものの、イスラエルの入国拒否に反対を表明した。
入国拒否についてオマル氏は声明で「トランプ大統領の圧力を受けて、ネタニヤフ首相が米議員の入国を拒否したことは恥ずべきことだ」と批判。イスラエルの入国拒否の背景には、トランプ氏の働きかけがあったと訴えた。さらに「中東で『唯一の民主主義国家』を標榜するイスラエルの決定は民主主義の価値への冒涜だ」とした。
タリーブ氏は「パレスチナ人の孫で、米議会の議員である私の入国を禁止したのは、イスラエルの弱さの証しだ。パレスチナの人々の置かれた状況が、いかに恐ろしいかを物語っている」とツイッターに投稿した。