ミャンマー軍士官学校、襲撃受け14人死亡
【ヤンゴン=新田裕一】ミャンマー国軍は15日、中部マンダレー管区の国軍士官学校や周辺施設が、同国北東部に拠点を持つ少数民族武装勢力の襲撃を受け、兵士や警察官ら少なくとも14人が死亡し、4人が行方不明になったと明らかにした。ミャンマーでは少数民族の自治権を巡る紛争が70年間続いているが、国軍の支配地域内での戦闘はまれだ。
国軍報道官によると15日未明、国軍技術学校の施設のほか、高速道路の料金所や橋、薬物検査施設など4カ所が襲撃を受けた。同日午後までに国軍が鎮圧した。襲撃者の規模は明らかになっていない。
襲撃をしかけたのはミャンマー北東部の中国国境付近に勢力圏を持ち、「北部同盟」と呼ばれるグループに属するタアン民族解放軍(TNLA)など3つの武装勢力とみられる。地元報道によると、武装勢力の報道担当者が関与を認めた。
襲撃が起きた地域は、ミャンマー第2の都市マンダレーと中国国境を結ぶルート上にあり、中国との陸路貿易にも影響が及ぶ可能性がある。
ミャンマー国軍は2018年12月、「和平交渉を進めるため」として一方的停戦を表明した。武装勢力側は実際には戦闘が続いていると反発していた。
ミャンマーには約20の少数民族武装勢力があり、その一部は中央政府や国軍が関与できない支配地域を持つ。アウン・サン・スー・チー国家顧問は国内和平を最優先課題としてきたが、国軍と少数民族勢力の仲介に手間取り、大きな進展を示せていない。