篠原、「世紀の誤審」で銀 2000年シドニー五輪
幾多の熱戦が繰り広げられてきた五輪の歴史には物議を醸す判定も少なくない。中でも「世紀の誤審」として記憶に刻まれているのが2000年シドニー大会柔道男子100キロ超級の決勝だ。
開始1分30秒すぎ、連覇を狙うドイエ(フランス)の内股に対し、前年世界王者の篠原信一は待ってましたとばかりに内股透かしで応じる。自らも横向きに倒れながら、相手が背中から落ちたのを見て「一本」を確信してガッツポーズを見せた。
だが、主審の判定はドイエの「有効」。動揺した篠原はその後にポイントで並びながらも、終盤に再び有効を奪われて万事休す。高度な返し技を主審が見抜けなかったのが原因とされ、国際柔道連盟はドイエの有効は誤審との見解を発表した。
後に精度向上のためビデオ判定や審判委員(ジュリー)によるチェックが導入されたが、12年後のロンドン大会ではそのジュリーがジャッジに頻繁に介入し、旗判定まで覆す混乱が発生。競技レベル向上に審判がどう対応していくかは今もつきまとう難問だ。