台風10号、Uターン直撃か 山陽新幹線は15日終日運休
東海道新幹線は直通運転取りやめ
大型の台風10号の接近を受け、鉄道や航空各社は14日、安全確保のための対応に追われた。JR西日本は山陽新幹線の新大阪―小倉間の運転を15日の終日見合わせる「計画運休」を発表。空の便やフェリーは関西と九州地方を結ぶ路線や航路を中心に欠航が相次いだ。お盆休みのUターンラッシュと重なり、交通機関の乱れはさらに広がる恐れがある。
JR西によると、15日に運休する山陽新幹線のうち小倉―博多間は1時間に1本程度の運転を続ける。JR東海も15日は東海道新幹線と山陽新幹線の直通運転を取りやめ、本数を減らして運行する。新大阪駅で折り返し運転をし、上下列車で約60本が運休する予定だ。
在来線ではJR西が15日、岡山、広島、山口の各県で全ての列車を運休する。JR四国も15日は全ての列車の運転を取りやめる。
JR新大阪駅では予定を繰り上げるなどして新幹線に乗り込む人も。大阪市の実家に帰省していた東京都杉並区の会社員、須藤彩花さん(27)は15日に東京に戻る予定だったが、計画運休が実施される可能性があると知り、窓口で14日の切符を確保した。「16日から仕事があり、出勤できなかったら困る。前もって準備できたので助かった」と話した。
14~15日まで広島市の実家へ行く予定だった堺市の主婦、仲井志津子さん(52)は自宅を早めに出て予約していた帰りの新幹線を14日午後7時着に変更した。「日帰りになってしまったが、安全優先なので仕方がない」と残念そうだった。
私鉄各社も今後の台風の進路を注視。阪急電鉄は「台風の規模や進路に応じ、随時対応を検討する」(担当者)、京阪電気鉄道は「安全を第一に考え、帰宅困難者が出ないよう迅速に判断したい」(同)としている。
空の便は既に、関西と九州を結ぶ路線などで影響が出ている。日本航空は14日午前11時現在で62便、全日空は午後0時10分現在で34便が欠航。大阪国際(伊丹)空港では遅延や欠航を伝えるアナウンスが繰り返し流れた。
京都府内に住む大学4年の息子を訪ねた帰りという北海道芽室町の加藤啓子さん(50)は台風の影響を見越し、午後3時ごろを予定していた出発時刻を繰り上げたい考えだ。一緒に来た夫は空席があった別便で出発できたが、加藤さんはキャンセル待ちの状況で「無事帰れるかどきどきしながら待っている」と話した。
関西と九州を結ぶフェリー「さんふらわあ」は14~15日、大阪―別府(大分県)、大阪―志布志(鹿児島県)、神戸―大分の全3航路の欠航を決めた。1便あたり600人近い予約は全てキャンセルとなり、運航会社は予約した人に個別に連絡して返金する作業に追われている。「帰りが遅くなる」「代替便は用意できないのか」といった声もあるといい、担当者は「心苦しいが、天候が理由なので対応の難しさを理解してほしい」と漏らした。
第5管区海上保安本部は14日午後3時から、関西国際空港の周辺3カイリ(約5.5キロ)の海域での船舶航行を制限する。2018年9月に台風の暴風で関空連絡橋にタンカーが衝突した事故を受けて新設された措置で、今回が初めての実施となる。100トン以上の船舶は危険回避目的以外での航行を禁止し、同種事故の再発を防ぐ。