中国進出の有名ブランド、相次ぎ謝罪 香港表記巡り
【上海=松田直樹】伊高級ブランド「ヴェルサーチ」など中国に進出する大手外資ブランドが、香港や台湾の表記を巡り、謝罪する事態が相次いでいる。中国で販売される外資企業の一部商品のデザインなどが、香港や台湾があたかも中国から独立した一つの「国」のように扱われているとの批判を集めているためだ。香港や台湾問題に苦慮する中国政府による圧力である可能性もあり、外資企業は神経をとがらせている。
ヴェルサーチは11日、中国版ツイッターの「微博(ウェイボ)」で、「中国の領土と主権を尊重する」と謝罪を表明し、発売していた同社の一部商品を回収し、廃棄したと発表した。
同社はTシャツで「ニューヨーク・米国」「北京・中国」のように都市名と国名を併記するデザインを採用した。その商品の中で「香港・香港」「マカオ・マカオ」と記載していた。そのため中国のネット上では最近、「香港やマカオを独立した国のように表記している」などと、批判が殺到していた。
米タペストリーのブランド「コーチ」も、2018年5月に発売したTシャツのデザインに問題があったとして、12日に商品の回収を表明した。日本のアシックスやフランスの高級ブランド「ジバンシィ」もサイト上の表記などを巡り、見方によっては香港や台湾が独立した国とも読める表現があったとして、13日までにSNS(交流サイト)上で謝罪した。
最近の香港情勢を巡っては、中国政府が抗議デモについて「テロの兆候が出始めている」と非難するなど収束の兆しがみえない。中国政府は8月に中国大陸から台湾への個人旅行を停止するなど、中台関係も一層悪化する。中国に進出する外資企業の間では製品のデザインなどをやり玉にあげる動きが広がることへの警戒感も広がっている。