香港国際空港が全便欠航 抗議行動の拡大で
【香港=木原雄士】香港の航空当局は12日午後、香港国際空港を同日中に発着する航空便をすべて欠航にすると発表した。空港で「逃亡犯条例」改正案に絡む大規模な抗議活動が起き、円滑な業務の運営に支障をきたすと判断した。香港警察は同日、一連の抗議活動の逮捕者が700人を超えたと発表した。市民の間では警察の厳しい取り締まりに反発が強まっている。
12日夕方ごろ時点で、すでに出発ずみの便や搭乗手続きが終わっている便などを除く航空便の運航とりやめを決めた。香港国際空港はアジア有数のハブ空港。5日に管制官や航空会社職員のストライキによって240便以上が欠航になったが、全便を取りやめるのは異例だ。抗議活動が長引き、観光やビジネスへの影響が広がっている。
空港での抗議活動は当初11日までの予定だった。香港警察が11日に各地で行われた抗議活動に絡んで地下鉄の駅構内で催涙弾を使ったほか、至近距離から女性の目に布袋弾を命中させるなどして、市民の反発が拡大した。女性は失明の可能性があるという。学生ら数千人が急きょ空港に集まり、到着客らに香港の現状を訴えた。
10~11日の抗議活動ではデモ隊が移動を繰り返しながら繁華街で警察官にレーザー光線をあてたり、路上で火をつけたりした。デモ隊そっくりの格好をした警察官が突然、デモ参加者を逮捕し始めるなど混乱も起きた。
香港政府は12日未明に出した声明で「法律を完全に無視して警察官や市民の安全を脅かす暴力的な行動に憤慨しており、厳しく非難する」と指摘した。ゲリラ的なデモが「一般市民から日常生活の権利を奪っている」として「違法なデモ参加者を裁判にかけるために、法律を厳格に執行する」と強調した。