アルゼンチン大統領予備選、左派が大差で首位
【グアテマラ市=外山尚之】アルゼンチンで11日、大統領選の前哨戦となる予備選挙が実施された。左派のフェルナンデス元首相(60)が得票率約47%と、現職で中道右派のマクリ大統領(60)の約32%に大差をつけて首位だった。経済政策が争点で、左派陣営は国際通貨基金(IMF)との合意や自由貿易協定(FTA)の推進を見直す方針を掲げており、12日の金融市場では通貨や株がそろって売られた。
予備選は全有権者が対象で、10月27日投開票の大統領選に出馬するには予備選で1.5%の得票を得る必要がある。本選に向けた大規模な情勢調査という側面もあり、左派陣営が予想より優位に選挙戦を進めていることが明らかになった。
フェルナンデス氏は労働組合や低所得者層が支持基盤で、左派陣営として4年ぶりの政権奪回を狙う。同氏は11日夜、支持者に向けて「我々は嘘の時代を終わらせ、新しいアルゼンチンをつくる」と述べた。
マクリ氏は11日夜、支持者向けの集会で「我々にとってひどい選挙だった」と振り返り、「10月(の大統領選)までの間、努力を倍増させる」と述べ、巻き返しを誓った。
アルゼンチンの通貨ペソは12日、対ドルで前週末比一時25%下落した。同国中央銀行の介入で値を戻したが、終値は1ドル=52ペソと、同13%超の安値水準となった。主要株価指数メルバルは同37%の下落で取引を終えた。
フェルナンデス氏は昨年4月に始まった通貨下落や年率50%を超える高インフレはすべてマクリ政権の新自由主義的な経済政策が原因だと非難し、年金の増額や中小企業向けの補助など、財政規律を無視した政策で支持を集める。
同氏は現政権とIMFの融資交渉での合意を大幅に見直すとし、FTA推進にも否定的な立場だ。経済界からの評価が高いマクリ氏の改革路線を逆行させるだけでなく、「中央銀行の(市中銀行への)利払いをやめる」といった、市場経済を無視した発言も目立つ。
フェルナンデス氏とマクリ氏から大きく離れ、3位には中道左派のラバニャ元経済財政相(77)が得票率8.6%で続いた。