北朝鮮が短距離弾道ミサイル 7月25日から発射5度目
【ソウル=恩地洋介】韓国軍合同参謀本部は10日、北朝鮮が同日午前5時半すぎ、東部の咸興(ハムフン)付近から日本海に向けて短距離弾道ミサイルと推定する2発の飛翔(ひしょう)体を発射したと明らかにした。飛行距離は約400キロメートル、高度は約48キロメートルだった。韓国大統領府は関係閣僚会議を招集し、米韓合同軍事演習に対抗する武力示威だと判断した。
北朝鮮は6日にも短距離弾道ミサイルを2発発射した。7月25日以降の飛翔体発射は5度目となる。北朝鮮が反発する米韓合同軍事演習は5日に始まった。11日からは有事を想定した本格的な指揮所演習に入り、20日まで予定されている。韓国軍は「北朝鮮軍は夏季訓練中で、追加発射の可能性が高い」との見方を示している。
北朝鮮は7月25日と8月6日のミサイルを「新型戦術誘導弾」と呼び、韓国政府なども短距離弾道ミサイルだと判断している。通常の弾道ミサイルとは異なり、低空飛行で迎撃を回避する性能を備えているのが特徴。北朝鮮メディアは6日に発射したミサイルが日本海上に設定した目標の島に着弾したと報じた。
北朝鮮外務省報道官は6日の談話で、演習を巡り「我々の再三の警告に耳を傾けないなら、高い代価を払わせる」と主張した。
日本政府は10日朝、北朝鮮による飛翔体発射に関し、日本の領域や排他的経済水域(EEZ)内への飛来は確認されていないと発表した。「現時点において、我が国の安全保障に直ちに影響を与えるような事態は確認されていない」としている。
原田憲治防衛副大臣は防衛省の幹部会議後、記者団に「情報の収集と分析に努めるとともに、警戒監視に万全を期す」と語った。飛翔体が短距離弾道ミサイルである可能性については「分析中だ」と説明した。
米政府高官は9日、北朝鮮による飛翔体の発射について「北朝鮮がミサイルを発射したとの報道を把握しており、状況の監視を続けている。同盟国である日本と韓国と緊密に連携している」と明らかにした。
金正恩(キム・ジョンウン)総書記のもと、ミサイル発射や核開発などをすすめる北朝鮮。日本・アメリカ・韓国との対立など北朝鮮問題に関する最新のニュースをお届けします。