野党、会派合流探る 国民民主が立民に「衆参両院」要求
国民民主党は9日の総務会で、立憲民主党からの衆院会派入りの提案について、衆参両院での統一会派結成を求めることを決めた。政策や新たな会派名などについて協議を進める。立民は現行の会派への参加を呼びかけているが、国民民主側には吸収の形への反発が強い。名称や政策などで国民民主の主張を反映させるよう求める構えだ。
立民の提案に対し「衆参両院で統一会派を結成する。政策的方向性、その他必要な事項について誠実に協議し、合意を形成する」と決めた。玉木雄一郎代表は総務会後に「私はずっと大きな固まりをと言ってきた。それは当然、衆参一緒のイメージだ」と語った。10日の両院議員総会で正式決定する。
立民は衆院の会派のみを一緒にする構想を提案している。国民民主が衆参両院ともに会派を組むように逆提案するのは、党内の分断を避ける狙いがある。
参院側は、7月の参院選で立民と競合した選挙区もあり、立民への反発もくすぶる。立民のかわりに日本維新の会と統一会派をつくる構想も浮上した。
一方、衆院側では次期衆院選をにらみ、野党共闘への機運が高まっている。衆参の温度差は大きい。国民民主内には衆院のみでの統一会派を提案した立民の思惑は「分断工作ではないか」との警戒も出るほどだ。
立民の枝野幸男代表は衆院会派「立憲民主党・無所属フォーラム」に加わる形式を提案しており、国民民主内には「上から目線だ」との反感もある。政策面でも立民は憲法改正やエネルギー政策などへの理解を求めている。立民が掲げる法施行後5年以内の廃炉決定を柱とする「原発ゼロ法案」は、支持団体に電力総連を抱える国民民主にとっては慎重論が根強い。
立民側にも参院を中心とした国民民主側との感情的なしこりを懸念する声がある。立民幹部のひとりは「衆参ともに会派を一緒にするのは簡単ではない」と語る。
立民が参院での会派づくりに消極的な背景には、7月の参院選で2議席を獲得したれいわ新選組の存在もある。参院で維新や共産党を除く野党の会派を探る場合、立民内には「れ新を連携の枠組みから外すわけにはいかない」との主張もある。消費税増税への姿勢などで野党の足並みがどうなるか読めず、参院での枠組みづくりにはまだ消極的な面もある。
立民が衆院会派入りを求めていた衆院会派「社会保障を立て直す国民会議」は9日に開いた総会で結論は出さず、まず「合流に向けたプロセス」に入ると確認した。代表の野田佳彦前首相は記者団に「我々だけ先行して決められるほどの判断材料もない」と述べ、国民民主の動きを注視する考えを示した。社民党は立民からの提案をすでに断っている。
衆院会派の議席は立民が70、国民民主は39、「社保」は8で、合計すると117議席となる。第2次安倍政権発足後、衆院で民主党や民進党など野党第1会派は100議席を下回ってきた。参院では立民が35、国民民主が25で一緒になると計60議席になる。
玉木氏が様々な条件を付けるのは国民民主の意見を集約する目的もある。国民民主幹部は「参院議員には高い条件を突きつければ、立民がのめず話が潰れるとの期待があるのでは」と懸念する。両党ともに野党で大きな固まりをつくる必要性では一致している。メンツや過去の経緯をどう乗り越えるかが課題だ。