非鉄大手の4~6月期、全4社が最終2ケタ減益
非鉄金属大手4社の2019年4~6月期連結決算が9日出そろい、純利益がいずれも2ケタ減益になった。米中摩擦で世界景気の減速懸念が高まり、非鉄価格が下落した影響が大きい。自動車やスマートフォン(スマホ)向け電子材料も振るわなかった。製錬所のトラブルを明らかにした三菱マテリアルなど3社は4~9月期の純利益予想を下方修正した。
DOWAホールディングスが9日発表した19年4~6月期の純利益は前年同期比19%減の48億円だった。スマホ向けの発光ダイオード(LED)や、自動車向け金属加工品など利益率の高いものの販売が低調だった。新製品向けの研究開発費なども重荷になった。
自動車やスマホ向けの伸び悩みは各社に共通している。三菱マは比較的利益率の高い自動車や半導体向けの銅加工品の販売が大きく減少し、これらを含む「高機能製品カンパニー」のセグメント利益は76%減だった。三井金属は自動車のドアロックやスマホ向けの銅箔の出荷が低調だった。
非鉄市況の悪化も収益を押し下げた。住友金属鉱山は主力の銅やニッケルの4~9月期の想定価格を引き下げた。出資する海外銅鉱山の生産量は前年同期より増えたが、銅精鉱の価格下落で収益が悪化した。三井金は亜鉛や鉛の市況悪化で金属事業の売上高が10%減少した。
三菱マや三井金は決算発表翌日の終値がそれぞれ4%安、3%安だった。三菱マは製錬所、三井金は発電施設でのトラブルを明らかにし、業績予想を下方修正したことが材料視されたようだ。
一方、8日の取引時間終了後に決算を発表した住友鉱は9日の終値が前日比6%高だった。製錬所などの操業が順調で、「生産面の安定はポジティブ」(SMBC日興証券の山口敦氏)と受け止められた。
4~9月期の業績予想を下方修正した3社も20年3月期通期の見通しは変更しなかった。ただ、三井金の大島敬執行役員は「米中貿易摩擦などで先行きは不透明」と警戒感を示した。
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