2季目も飛躍期す早田 Tリーグ女子、大阪で開幕へ
卓球のTリーグが8月末に2シーズン目の開幕を迎える。女子の開幕シリーズは30日からの4日間、エディオンアリーナ大阪(大阪市浪速区)で全4チームによる6試合を行う。初代女子王者の日本生命レッドエルフは、昨季のファイナルで破った木下アビエル神奈川と開幕戦で対戦。翌31日はともに大阪を本拠地とする日本ペイントマレッツとの「大阪ダービー」に臨む。
注目は日本生命、早田ひな(19)の戦いぶりだ。昨季はリーグ戦で11戦全勝、3月のファイナルでも2勝と無敗の快進撃で最優秀選手に輝いた。早田は7月24日に大阪市内で開かれた開幕前イベントで「追われる立場になるが、挑戦者の気持ちで頑張りたい」と意気込んだ。
早田や平野美宇(19)が所属する日本生命は昨季、レギュラーシーズン2位。石川佳純(26、全農)を擁する神奈川が1位で通過したが、ファイナルは早田の活躍で日本生命が制した。
「団体戦がすごく好き」と語る早田は昨季のTリーグで最も成長した選手だ。「チームの選手やコーチ、監督の助言に自分にはない考え、(戦術的な)ひらめきがあって、それを試合の中で取り入れられた」と個人戦とは違う団体戦の妙味を説く。
リーグ戦では格上の選手と何度も対戦。「対策してきたことが次の対戦ではもう通用しない。戦術転換の速さがすごく大事」と痛感したが、その中での無敗は「頭の部分で成長できた」と自信につながっている。
167センチの長身から放つ両ハンドの強打に加え、戦術面でも成長したことで、1月の全日本選手権では石川を破って4強。優勝した2月のポルトガルオープンでは元世界ランク1位の劉詩ブン(あめかんむりに文)(28、中国)に勝った。
4月の世界選手権(ブダペスト)でも伊藤美誠(18、スターツ)とのダブルスで日本勢48年ぶりの銀メダル。だが、シングルスでの出場は逃した。3月の最終選考会で、Tリーグにも参戦する日本ペイントの加藤美優(20)に、マッチポイントを握りながら逆転負けしたためだ。
加藤も現世界ランク1位、陳夢(25、中国)に勝つなど急成長中。早田は「自分のプレーを最後までやりきる難しさ」を課題に挙げ、加藤に負けた直後のTリーグファイナルでは神奈川の中国人選手に土壇場から逆転勝ち。「緊張した場面でも攻め、それでいて安定感がある。そういう究極を追求したい」
8月現在の世界ランクは34位。2020年東京五輪の代表入りは「今のままだと厳しい」と自覚するが、「Tリーグでの声援を励みに、最後まであきらめない」。大器のさらなる覚醒に期待したい。
(影井幹夫)