韓国、石炭灰の放射性調査を強化 日本からの輸入分
日本の輸入管理に対抗か
【ソウル=鈴木壮太郎】韓国政府は8日、日本から輸入する石炭灰の環境調査を強化すると発表した。放射性物質の濃度についての調査を四半期に1度から全量調査に切り替える。韓国政府は日本が韓国の優遇対象国除外を決定した2日、対抗策の一つとして日本の放射能汚染問題を取り上げると示唆しており、その一環の可能性がある。
石炭灰は石炭火力発電所の燃料として使われた石炭の燃えかすで、セメント原料として使われる。2018年の輸入量は126万8000トン。品質が良く輸送距離も近いため、輸入のほぼ全量が日本産という。
韓国環境省によると、これまでの検査でも基準値を超えた例はないというが、「国民の安全に対する懸念が強まっていることに応えるため」とし、「日本の輸出管理体制の強化とは関係がない」と説明している。
ただ、洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相兼企画財政相は2日、日本の措置を受けた対応策として、「国民の安全に関する事項として、観光、食品、廃棄物などの分野から安全措置を強化する」と発言している。
具体的な言及は避けているものの、11年の東日本大震災に伴う東京電力福島第1原子力発電所の事故による放射能汚染を問題視するものと韓国では受け止められている。今回の環境省の決定は、これと関係しているとみられる。
ただ、20年の東京五輪を控える日本に韓国が放射能汚染を持ち出せば日本の国民感情を刺激するのは必至。政府に自重を求める声も韓国内には根強い。