シングテルの純利益、約14年ぶり低水準 4~6月
【シンガポール=谷繭子】シンガポール通信最大手、シンガポール・テレコム(シングテル)が8日発表した2019年4~6月期連結決算は、純利益が前年同期比35%減の5億4100万シンガポールドル(約415億円)だった。四半期ベースでは04年7~9月期以来、14年3四半期ぶりの低水準となった。企業の設備投資削減を受け、情報通信サービスなど法人部門の収益が落ち込んだ。
売上高は0.5%減の41億1300万シンガポールドルだった。全体の35%を占める法人部門の売上高が5%減った。チュア・ソックン・グループ最高経営責任者(CEO)は同部門が苦戦した要因として「価格競争と慎重な事業環境」を挙げた。
ビル・チャン法人部門CEOは米中摩擦で先行きの不透明感が強まり、「外資系企業が中国などアジアへの新規投資の決断を遅らせたり縮小したりしている」と指摘。「(自社の手掛ける)情報通信サービスやデータセンター事業への影響を注視している」と述べた。
一方、同社が35%を出資する携帯会社、バルティ・エアテルの税引き前損益は19年4~6月期に赤字幅が拡大した。インドの通信業界は激しい価格競争で再編が進んだが、「まだ厳しい状況」(シングテル幹部)が続いているという。この結果、シングテルの海外事業の税引き前利益は3億3500万シンガポールドルと14%減った。
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