私鉄9社が増益 大手14社 4~6月 不動産事業で明暗
私鉄大手14社の2019年4~6月期の連結決算が8日出そろい、9社が前年同期比で最終増益となった。不動産賃貸の割合が大きい東京急行電鉄や西武ホールディングス(HD)などが増益を確保した半面、不動産販売が落ちこんだ小田急電鉄などは減益となった。
8日に決算発表した東急は18年9月に開業した大型複合施設「渋谷ストリーム」(東京・渋谷)が寄与し、純利益は21%増の163億円だった。西武HDも大型複合施設「ダイヤゲート池袋」(東京・豊島)のオフィス賃料などが収益を押し上げ、純利益は142億円と11%増えた。都内の旺盛なオフィス需要が支えになっている。
不動産事業でマンションなどの販売の割合が大きい私鉄では明暗が分かれた。京浜急行電鉄は品川区など都内でマンションの大規模販売があったほか、オフィスビルの信託受益権による配当収入も伸びて純利益は26%増の70億円だった。
近鉄グループホールディングス(GHD)はマンションの分譲戸数の減少に加え、前年同期にあった施設用地売却の反動もあり、純利益は91億円と19%減った。小田急は前期に不動産売却益を計上した反動が出て26%の減益となった。
鉄道事業は全14社が前年同期比で運輸収入を伸ばした。4~5月の10連休にともない、首都圏の私鉄8社などで4月の定期利用者が減少したが、国内を周遊する訪日客(インバウンド)などの需要を捉え、定期外利用者の増加が目立った。京成電鉄は「スカイライナー」など成田空港発着の有料特急の利用者を8%伸ばした。
20年3月期通期の業績見通しは近鉄GHDと相鉄ホールディングス(HD)、西日本鉄道を除く11社が据え置いた。相鉄HDなどは新型車両の製造などで減価償却費が膨らみ最終減益となるが、9社が増益を見込む。
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