今春の医学部入学者、女子比率が上昇 学校基本調査
2019年春に大学の医学部医学科に入学した学生のうち、女子の比率が前年度比2.5ポイント増の37.2%となったことが8日、文部科学省の学校基本調査(速報)で分かった。私立大では女子比率が4割を超えた。一部の大学医学部では昨年、女子の受験生らを不利に扱う不正が発覚した。同省が改善を求めた結果、性別による差別の解消が進んだ可能性がある。
同調査によると、19年度の医学部医学科の入学者は9007人で、うち女子は3348人だった。18年度は女子が3128人で、全体(9002人)の34.7%だった。
19年度入学者の女子比率を国公私立別でみると、国立は前年度に比べて1.0ポイント増の33.7%、公立は同3.1ポイント増の31.8%、私立は4.0ポイント増の42.7%だった。私立の現在の2~6年生の女子比率は30%台にとどまっている。
医学部入試を巡っては18年8月、東京医大で女子や多浪生らを不利に扱う得点操作が発覚した。同省の調査では、東京医大を含む計10大学が入試で女子差別をするなど不適切な対応をしているか、その可能性が高いとされた。
同省は昨年12月、医学部入試での不正防止に向けた指針を公表した。性別や年齢などの属性によって差をつけるのは不適切とし、各大学に対応を求めた。その結果、19年度の入試では10大学のうち、性別による差別は無いとしていた大学を含む9大学で、女子の合格率が上昇した。
医学部専門予備校「メディカルラボ」(本部・名古屋市)の可児良友・本部教務統括は「19年度は属性に関係なく、学力や努力に応じた結果が出たと感じる。不正がなかったとする大学でも、面接などで受験生を平等に扱おうとする意識が働いたのではないか」としている。