カラバッジョ作品届かず 札幌の展覧会、意見対立か
【ローマ=共同】10日から札幌市で開催されるイタリア絵画の巨匠カラバッジョ(1571~1610年)の展覧会に、イタリアから貸し出される予定の「瞑想(めいそう)するアッシジの聖フランチェスコ」など2点が届いていないことが5日分かった。
担当するイタリア文化財・文化活動省内部の意見対立で最終的な搬出許可が出ていないとみられるが、目玉作品も含まれるだけに展覧会の主催者側は困惑している。
カラバッジョは優れた描写力と、光と影を強調した作風で知られ、日本でも人気が高い。展覧会はカラバッジョと同時代の画家らを紹介する企画で、イタリア国内にある所蔵作品を中心に約40点を展示。ローマの美術館などが所蔵する10点のカラバッジョ作品が含まれる予定だった。
イタリア紙レプブリカによると、文化財省は日本への貸し出しで合意していたが、省内の委員会が技術的な理由で搬出を停止させた。省内には「文化財の保護を優先すべきだ」との意見と、「より商業的に利用した方がよい」との意見の対立があり、最近、商業利用を認めていた担当部局のトップが代わったことが背景にあるという。
展覧会は今月10日~10月14日の北海道立近代美術館(札幌市)を皮切りに名古屋、大阪と巡回予定。札幌展を主催する北海道新聞の事業センター文化グループの松田淳一担当部長は「関係者と協議の上、対応を検討したい」と話している。