ライブドア前夜のキーマン、かなえたビールの夢
敗れざる者たち ネット興亡記外伝(3)
ニューヨークの高級すし店「スシ・オブ・ガリ」。サーモンにトマトを組み合わせるなど、日本の常識では考えられないような創作すしが本場の食通をうならせる。
ただ、飲み物のメニューの中にはひときわ「和」を感じさせるビールがある。日本発のクラフトビール「馨和(KAGUA)」だ。ユズやサンショウのほのかなテイストが隠し味。店員の一押しだ。
このビールを造っているのが、山田司朗が2011年に創業したファーイーストブルーイング(東京・渋谷)だ。山田は社会人となった約20年前、ビール造りに携わるとは夢にも思わなかっただろう。
「ウォール街」にあこがれて
学生時代に米映画「ウォール街」を見て証券マンに憧れ、1998年にベンチャーキャピタルに就職した。山田が新人時代に出会ったのが、サイバーエージェントを創業したばかりの24歳の藤田晋...
インターネット産業の勃興を彩る起業家たちの挑戦と苦悩の物語を描くシリーズ「ネット興亡記」。その中で今も功罪を問われるのがライブドアだ。時代が21世紀に入るとともに時代の寵児(ちょうじ)と騒がれ、2006年1月、堀江貴文の逮捕で実質的に幕を閉じた。だが、ホリエモンのもとに集まった若い才能たちは舞台を移して今も活躍している。多くはライブドアを買収したLINEに移ったが、自らの腕を信じて異なるフィールドに飛び込んだ者もいる。昨年10月に公開したネット興亡記・第2部「敗れざる者たち」の外伝として「ライブドアの残党」のその後の物語を追う。 (2018年10月に日経産業新聞に掲載した記事を加筆修正しました)
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