CKハチソン1%増益、1~6月 エネルギー事業振るわず
【広州=比奈田悠佑】香港の複合企業、長江和記実業(CKハチソンホールディングス)が1日発表した2019年1~6月期の純利益は、前年同期比1%増の182億香港ドル(約2500億円)だった。中国大陸や欧州での提携・買収戦略が奏功した。
アジアや欧州で展開するドラッグストアチェーン「ワトソンズ」などの小売事業が堅調だった。中国のネットサービス大手、騰訊控股(テンセント)などと組んで中国大陸で始めたスーパー事業が収益に貢献した。欧州事業では18年夏に買収したイタリアの通信大手ウインド・トレも収益を押し上げた。提携や買収による多角化の効果が順当に出た形だ。
一方でエネルギー事業は振るわなかった。18年12月のカナダ最大の原油産地アルバータ州政府による減産命令などが影響したという。
経営トップの李沢鉅(ビクター・リー)主席は決算資料で「世界経済の先行きは不透明だ。リスクは依然として大きい」と今後の展望を説明した。香港の中央銀行にあたる金融管理局は1日、銀行向け貸し出しの基準金利引き下げを発表している。
長江グループは香港で「超人」と呼ばれる実業家、李嘉誠氏が一代で築き上げた財閥だ。不動産や通信、インフラ事業などグループの拡大を率いた李嘉誠氏は18年に経営の一線から退き、長男のビクター氏がトップに就いた。株式市場からはビクター氏の経営手腕に注目が集まっている。