病院再生、投資ファンドが名乗り ユニゾン、埼玉県で20億円融資発表
投資ファンドが病院再生に乗り出している。ユニゾン・キャピタル(東京・千代田)は31日、医療法人同愛会(埼玉県熊谷市)に約20億円融資すると発表、ベンチャーキャピタル(VC)と中小規模病院の経営支援を始める。日本政策投資銀行や三井住友ファイナンス&リースなども8月にファンドを立ち上げる予定で、資金と運営の両面で病院経営を支援する。
ユニゾンは5年間で30病院への投資を目指し、すでに10カ所程度に投資の準備をしている。
2017年に子会社として地域ヘルスケア連携基盤(東京・中央)を立ち上げており、ファンドの資金を活用して約60店の調剤薬局に投資。医薬品などを共同で購入したり、管理業務を集約したりしてきた。この取り組みを病院にも広げる。
またグロービス・キャピタル・パートナーズ(東京・千代田)と提携し、ベンチャー企業が開発した病院経営の効率化や患者へのサービス向上につながる新技術を、支援先の病院に導入する。診療の予約システムや、人工知能(AI)による医師の診断支援などを検討する。
支援先の経営が改善した後、別の医療法人に経営を引き継ぐことで、ファンドとしての収益をあげる計画だ。
政投銀や三井住友ファイナンス&リースなども8月に40億円規模で投資ファンドを立ち上げるほか、官民ファンドの地域経済活性化支援機構(REVIC)も17年に社会医療法人恵愛会(大分市)を支援している。
全国公私病院連盟によると全国の病院のうち18年時点で7割強が赤字。資金繰りが厳しいため設備投資や人材採用が滞り、サービスが悪化して患者が離れるといった悪循環に陥りやすい。
地方の中小病院では後継者不足も深刻化している。地銀の主要貸出先が病院であることも多く、病院経営の安定は地域経済全体にも重要なため資金、運営面ともニーズが高いとみている。
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