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蹴らずに完勝 日本ラグビー、幅の広がり示す

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自国開催のワールドカップ(W杯)への、一里塚になり得る試合だった。ラグビー日本代表は今年初の公式戦でフィジーに快勝。9月の本番に向け、チームの「幅」の広がりを感じさせる試合となった。

7月27日のリポビタンDチャレンジカップ・パシフィック・ネーションズ日本ラウンドの初戦。フィジーに34-21で勝った試合を見て、少しキツネにつままれたような感覚になった。戦前の選手、コーチの言葉とは、かなり異なる試合だったからだ。

前日、リーチ・マイケル主将は話していた。「ゲームプランはアンストラクチャーをつくること」。アンストラクチャーとは、キックの後などで両軍の陣形が乱れている状態を指す。素直に受け取れば、積極的に蹴ると考えられた。ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)も同様の方向を示唆していた。

つないで前進、ボール保持率は70%

ところが、前半の日本のキックは僅かに5回。逆に、パスを主体にボールをつないで攻めた。そして、この戦略がうまくはまった。

ボールを獲得すると、蹴らずにパスでつないで前進。敵陣での反則やミスを誘発し、その地点からのセットプレーからトライにつなげるという流れができていた。ジョセフHCも「前半のボール支配率が70%もあったことがとても良かった」と、球を保持し続けたことを勝因に挙げる。

前半で挙げた4トライも全て、ラインアウトとスクラムを起点にしている。つまり、アンストラクチャーとは逆の、「ストラクチャー」と呼ばれる互いの陣形が整った状態からのものだった。

この戦略が機能した要因はいくつもある。まずは安定したセットプレー。ラインアウトは後方のバックスに投げるロングスローなどの工夫が奏功。失敗は1度だけだった。

スクラムは主審の判定にも苦しんで前半に2度の反則をとられたが、後半は立て直した。組む前の両軍の距離を広げる新ルールが実施されて、日本にとっては初戦だったが、ほぼ互角に組めたところは自信になろう。

セットプレーでボールを確保した後のプレーにも、チームが春から磨いてきた要素が詰まっていた。パスの技術にFWの運動量、密集戦で相手を排除する速さと低さ……。攻撃を担当するトニー・ブラウンコーチは「前半はこの4年間のベストというくらいのプレーだった。ほぼ完璧にプランを遂行できた」と胸を張る。

後半は疲れもあってややミスが増えたが、試合全体をコントロールしていたのは日本。リーチ主将が「日本が一番苦手なタイプ」と話していた難敵からの、意義ある勝利となった。

もちろん課題もあった。それは奪われた3トライに凝縮されている。最初の1本は、日本のキックからのカウンターで奪われた。追走した1人目がタックルしたところまではよかったが、直後に外に回された時、防御ラインが整っていなかった。

守備担当のリーダー、プロップの稲垣啓太は「蹴った後、ブレイクダウン(密集)に入っていた選手のディフェンスの散らばりが遅い。そのスピードを上げるのが大事」。密集に入っていた選手が横に広がりながら素早く前に出て、防御ラインを整備する必要があると指摘する。

残りの2トライはモールを押し込まれた。フランカー徳永祥尭は「(モールに入る姿勢が)ちょっと高かったし、一人ひとりが入る位置に若干ズレがあった」と話す。ただ、強敵からの快勝で手応えを得たうえで、課題の改善に着手できるのはいい流れと言える。

話をキックに戻すと、最終的に日本がフィジー戦で蹴った回数は14回だった。本来はパスの本数などとの比較で考えるべきだが、数だけをみれば現チームになって屈指の少なさである。

今回とほぼ同じキック数だったのが、2017年秋のフランス戦や、昨秋のイングランド戦。やはり同様にボールを保持して戦い、善戦している。

フィジー戦の後、選手らは「ストラクチャーをつくることがゲームプランだった」と口をそろえた。戦前のリーチ主将らのコメントとは矛盾するが、W杯が近づき、どのチームも虚々実々の駆け引きを始めるタイミング。その是非を問うことはあまり意味はないのかもしれない。むしろ、対戦相手や周囲を惑わせられるだけの、幅の広さが出てきたと受け止めるべきだろう。

相手によって戦い方を使い分け

前回W杯の日本もうまく相手の予想を裏切った。本番までは一貫してパスを主体に戦っていた。しかし、W杯初戦の南アフリカ戦の前半は、キック16回と例外的に多く蹴った。相手の裏をかき、陣取り合戦で優位に立って試合をコントロールできたことが、終盤の逆転劇に結実した。

この時のキック戦術はやや奇襲的な意味合いがあり、南ア戦の後半や、W杯の残り3試合は基本的に本来の形に戻している。大会全体でみても日本は全チーム中、2番目にキックの少ないチームだった。この時の日本は、ボールをつなぐという大きな方向性で統一されていた。

一方、ジョセフHC就任後の日本はキックを多用する戦術に挑戦し、こちらの精度もかなり上がってきている。ここ4年のベストゲームの一つ、昨年のイタリアとの第1戦では約40回も蹴り、完勝している。

イタリア戦のアンストラクチャー型と、もともと日本が得意としていたストラクチャー型。今のチームは2つの戦い方をかなり使い分けられるようになっている。ブラウンコーチも「今の日本は相手の特性によって、色々なプランやスタイルで戦えるようになっている。W杯でも異なるスタイルで戦う」と宣言する。

日本は8月3日、パシフィック・ネーションズ杯第2戦のトンガ戦に臨む。WTBレメキ・ロマノラバは「今度の試合はもっとスピードアップする。いつも通り、ジャパンのスピードでアタックする」。アンストラクチャー型の戦いで挑む方向性を示唆する。

フィジーより重く、直線的に攻める相手だから、確かにこちらが常道ではある。しかし、フィジー戦のように、日本が戦前の予想と違う姿を見せる可能性だってあるだろう。

日本が次はどんな戦い方をするのか。W杯で戦う相手は頭を悩ませるだろうし、あれこれ予想を巡らせられるという意味では見る者にとっても楽しみなチームになっている。

(谷口誠)

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