ユニチカ跡売却、市長上告 愛知・豊橋の住民訴訟
愛知県豊橋市の佐原光一市長は30日、記者会見し、繊維メーカー「ユニチカ」の工場跡地を巡る住民訴訟で、同社に約21億円の損害賠償を請求するよう市長に命じた16日の名古屋高裁判決を不服として上告したと明らかにした。29日付。ユニチカも同日付で上告した。
訴訟は、同社が市から無償譲渡された土地を工場閉鎖後に返還せず売却したことの是非が争われ、高裁判決は売却価格63億円のうち工場などが建設されなかった緑地部分の価格約20億9400万円を請求すべきだと判断した。一審の名古屋地裁は住民の訴えを認め、全額の請求を命じていた。
佐原市長は「緑地も工場が周辺環境と調和する上で不可欠な事業の一部だったと考えている。議論を尽くすため、最高裁の判断を仰ぎたい」と述べた。
住民側も一審判決からの減額を不服として29日付で上告。30日に記者会見した宮入興一原告団長(77)は「減額はユニチカへの配慮だ。市民として納得できない」と批判した。〔共同〕
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