日本新は1つのみ、若手の育成進まず危機感 世界水泳総括
水泳の世界選手権は28日、競泳男子の瀬戸大也(ANA)が400メートル個人メドレーで2大会ぶりに優勝、女子400メートル個人メドレーでは大橋悠依(イトマン東進)が銅メダルをとり、閉幕した。競泳の日本勢は金2、銀2、銅2の計6個のメダルを獲得。リオデジャネイロ五輪前の2015年大会(4個)より増えたものの、若手の育成で世界から後れを取り、課題も大きく残った。
「選考会の結果からすればよくここまで成績を出せたのではないか」。日本代表の平井伯昌監督はうなずきながらこう話す。
日本選手権、ジャパンオープンと2つの代表選考会では実力者が次々と代表入りを逃し、記録も低調。萩野公介、池江璃花子の両エースも不在で「なかなか厳しい戦いになる」と平井監督は金メダルゼロの可能性も示唆していた。競泳大国としての最低限の面目は保ったといえるだろう。
メダリストは4人と、15年大会より1増。ただ、今大会での新入りは男子200メートル自由形銀の松元克央(セントラルスポーツ)のみ。女子のメダル獲得者は大橋1人に終わった。100メートル平泳ぎ4位の青木玲緒樹(ミズノ)などあと一歩で表彰台を逃した選手も多く、来夏へ勢いづくには物足りない内容だった。
個人種目の世界新記録は6個出たなか、日本新を出したのは松元だけ、日本勢は全体的に記録も伸び悩んだ。
大会全体を見てみれば、男子200メートルバタフライを世界新記録で制したクリシュトフ・ミラク(19、ハンガリー)、女子100メートル、200メートル背泳ぎで世界新を出したリーガン・スミス(17、米国)ら10代選手が話題を席巻。一方で日本は代表25人中、10代は6人、うち決勝進出者は2人のみ。スミスと17年世界ジュニア選手権で競り合っていた酒井夏海(18、スウィン美園)は「すごい差をつけられた」とうつむいた。
「若手の強化は常に努力しているつもりだが、追いついてないのが現状」と平井監督。イキの良い若手選手を発掘するため、8月の世界ジュニア選手権も視察するという。秋に実施予定の代表候補合宿で現メンバーと若手をうまく融合させながら、東京五輪へ危機感を持って強化スピードを上げる必要がある。(堀部遥)