金山総合駅周辺を再開発　中部空港や熱田神宮の結節点

名古屋市はJRと名古屋鉄道、市営地下鉄の3路線が乗り入れる金山総合駅の周辺再開発を進める。中部国際空港や熱田神宮などの結節点として乗降客は1日あたり46万人と、中部最大の名古屋駅（128万人）に次ぐ。2027年のリニア中央新幹線の開業に向け、駅北側の市民会館と商業施設を一体化する。

金山総合駅は名古屋市内外を結ぶ交通の要所でありながら、集客の目玉となるランドマークが乏しい。直近では05年建設の商業施設「アスナル金山」が最も新しい。駅北口を出ると商業施設が目の前に立ちはだかり、この場所からでは市民会館も確認できない。

しかも、市民会館とアスナル金山は道路で分断されている。市は「両施設の回遊性には課題がある」という。市民会館側を先に再開発し、次にアスナル金山周辺に着手する。

市が再開発に向けた基本構想「金山駅周辺まちづくり構想」をまとめたのは17年。19年度中に商業施設など、駅北側の具体的な整備計画を決めたい考え。事業費は今後詰めるが、PFI（民間資本を活用した社会資本整備）も検討する。市民会館側は27年夏までの完成を目指す。

現在のアスナル金山は市有地を賃借しており、この契約は28年2月に満了する。具体的な計画はこれから検討する。

駅の利用者が増えるとみて、市は19年度中に防災計画も拡充する。災害時に帰宅困難となった人向けに駅周辺の退避施設を定めるほか、必要な物資や情報伝達のルールも規定する。

金山総合駅周辺をめぐっては7月中旬、中部経済連合会の幹部が市との懇談会で「再開発を早期に進めてほしい」と要望。周辺の地価はすでに上昇しており、国税庁がまとめた19年分の路線価によると、金山地区（名古屋市熱田区金山町1丁目）は21.9%上昇した。上昇率は市中心部の栄地区に次ぐ高さだった。

駅周辺はマンション建設も相次いでいる。市の再開発計画と相まって、土地を早めに手当てする動きは熱を帯びている。（細田琢朗）