ラグビー日本、強豪フィジーに快勝 充実5トライ
隔世の感といったら大げさか。長年苦しめられてきた強豪フィジーの得意技を、日本の方がうまく使ったのだから。
前半23分のトライが最も美しかった。日本はバックスとFWが長短のパスを紡いで前進。最後はタックルされながらボールをつなぐ「オフロード」の連発で仕留めた。難易度の高いこの技は相手の真骨頂。ただ、この日は質・量ともに日本が上回っていた。
日本は今年、難しいパスを速いテンポの中でもつなげるよう、基礎技術を一から鍛えてきた。その成果が、相手のお株を奪っての5トライに結実した。
日本のオフロードが上回った理由がもう一つ。「守備の状況を読み解く力、オフロードをブロックする力が勝利につながった」とジョセフ・ヘッドコーチ(HC)は強調する。同じく春から磨いてきた組織守備が機能。速い出足で落球を誘い、パスコースを事前にふさぐ。フィジーのオフロードは何度も地に落ちた。
「相手が来日直後だったことと暑さの影響は考慮する必要がある」ともHCは言う。確かに敵失がなければもう2トライほど許していた。ただ、強豪国の仲間入りをしつつある相手に、久々の実戦で快勝を遂げたのは事実。リーチ主将は「10年間、代表でやってきたけどチームとしての成長を感じる」と胸を張る。
この勝利には別の意味もある。「人生で一、二を争う厳しさだった(今月までの)宮崎合宿がしっかり結果として表れた」。チーム選出のMVP、プロップ稲垣は話す。W杯イヤーの日本は断続的に長期合宿を行う一方、試合数を極端に絞っている。進んできた道が正しいと実感できたことは、最大の成果ではないか。(谷口誠)