東急百貨店、新業態に注力 東横店2020年に営業終了
東急百貨店は22日、東横店(東京・渋谷)の営業を2020年3月末で終了すると発表した。渋谷駅周辺の再開発に伴い、地下1階の食料品売り場などを除いて営業を終える。駅直結のターミナル型百貨店として存在感を発揮してきたが、86年の歴史に幕を下ろす。消費の変化に対応し、百貨店のノウハウを生かした新業態に注力する。
東横店の跡地には27年度、複合施設「渋谷スクランブルスクエア」の第2期(中央・西棟)が開業する。ここに再び東急東横店として出店するかどうか現時点で未定だ。
食品部門を除く従業員約200人は他店や新規事業へ振り向け、希望退職などは募集しない。
東横店は1934年に開業し、駅前の「忠犬ハチ公像」などとともに長らく渋谷の顔だった。売上高や利益は公表していないが、全国にある東急百貨店5店舗のうち最大という。東横店と本店を含む東急百貨店の渋谷地域の2018年度売上高は約916億円。
東急百貨店は東急グループの主要子会社だ。グループの中で東急建設、東急不動産と並び、東急創始者である五島慶太氏の時代にルーツを持つ御三家と呼ばれてきた。
東横店の営業終了は再開発事業による既定路線ともとらえられるが、百貨店業態そのものは苦戦している。日本百貨店協会によると、18年の全国の百貨店売上高は5兆8870億円と、ピークだった1991年(9兆7130億円)の6割程度に落ち込んでいる。
渋谷といえども旧来型の百貨店事業を続けることは難しい。東急グループは再開発で渋谷ヒカリエなどの複合施設を開いてきた。渋谷スクランブルスクエアはJR東日本、東京地下鉄(東京メトロ)と共同で開く渋谷最大規模の複合ビルとなり、19年11月に第1期(東棟)がオープンする。
東急百貨店は同ビルに、化粧品や服飾雑貨などを中心とする売り場を出すなど、新業態に注力しながら、総合小売りとして生き残りを目指す。