ローリー、「地元」で歓喜の初V 荒天も味方に
悪天候の気象予報で全体のスタート時間が当初予定より早められた。発表があった前日からローズは予言していた。「荒天になればなるほどローリーに有利だ。なぜなら彼はアイリッシュ」。英国イングランドの13年全米王者、16年リオ五輪金メダリストの言った通りの結末となった。
4打差で出た最終組のローリーとフリートウッドの一騎打ちは、最少3打差に縮まるのがやっと。目も開けていられないほどの雨交じりの強風が吹いた中盤に両者ボギーを出したが、14番でローリーはボギーにとどめ、フリートウッドはダブルボギーをたたいて勝敗は決した。
3年前の全米(オークモントCC)で2位に4打差の首位で迎えた最終日に76と崩れ、2位に敗れた。今回、コース改造後の新記録(63)で回った第3ラウンドの後、キャディーに笑って話したという。「(必ず聞かれる)オークモントの質問には答えないよ」
「あれは昔の話。ゴルファーとしては代わり映えしないけれど、人間としては成長した。明日はそれが役に立つ」。天の与えた試練に辛抱強く耐え、低い球を打ち続けた。スコアは1つ落としても2位との差は4から6へと広げる圧勝だ。
母国の英雄、ハリントンの全英初優勝はローリーが20歳の時。22歳でアマチュアでナショナルオープンを勝つと、10年の時を経て立派なあごひげをたくわえた大人となり、68年ぶりにアイルランド島に帰ってきた「ジ・オープン」を制した。この日はスタートから18番グリーンまで雨が降ろうが風が吹こうがローリーの行くところ「オーレオレ」の大合唱。アイルランドの国旗が誇らしげに揺れた。(串田孝義)