独首相、米女性議員と連帯 トランプ氏を批判
【ベルリン=石川潤】ドイツのメルケル首相は19日の記者会見で、トランプ米大統領が米民主党の非白人の女性議員に「国に帰ったらどうか」と促したことを強く批判した。メルケル氏は「私は(トランプ氏と)明確に距離を置く。攻撃された女性たちに連帯を感じる」と語った。記者会見は夏休み前の恒例で、外交から自身の健康問題まで幅広く答えた。
トランプ氏は15日にツイッターで政権に批判的な民主党議員を「彼女らは(過激派組織の)アルカイダに近い」などと非難し、民主党が猛反発していた。メルケル氏は「米国の強さは多様な国籍の人々に支えられている」と語り、差別と受け取られかねない発言をしたトランプ氏をいさめた。
メルケル氏は自身の健康問題にも答えた。この約1カ月で3度、全身が小刻みに震える発作に見舞われたが、健康に問題はないと強調した。2021年に政界を引退すると表明している同氏は「余生があることを願うし、健康に送れればよい」とユーモアを交えて語った。
欧州連合(EU)の行政トップである欧州委員長にドイツ人でメルケル氏の盟友のフォンデアライエン氏が就くと決まったことについては「欧州にとって大変よいニュースだ」と喜んだ。
フォンデアライエン氏の後任の独国防相には与党、キリスト教民主同盟(CDU)党首のクランプカレンバウアー氏をあてた。メルケル氏は首相候補は党が決めるとしつつも「(同氏は)党首で決定的な地位にある」と自らの後継になることへの期待を示した。