インベブ、豪や韓国の事業売却も 子会社の上場断念で
【ブベイ(スイス西部)=細川倫太郎】米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ、電子版)は18日、ビール世界最大手アンハイザー・ブッシュ・インベブ(ベルギー)がオーストラリアと韓国、中米の事業売却を検討していると報じた。アジア子会社の上場を断念せざるを得なくなり、資金調達の代替手段を探しているとみられる。豪州事業の売却先には、日本のビール首位のアサヒグループホールディングス(GHD)が浮上しているとしている。
インベブは「バドワイザー」などの主力ブランドを持ち、韓国では「カス」、オーストラリアでは「ビクトリアビター」などを販売している。もともと香港市場での上場で最大98億ドル(約1兆600億円)の調達を目指していたが、市場環境などを理由に断念。事業売却で同額程度を確保する狙いがありそうだ。
インベブのアジア太平洋の2018年12月期売上高は約84億ドル。全体に占める割合は約15%となっている。
「ビクトリアビター」を生産・販売するインベブ傘下の豪州最大手カールトン&ユナイテッドブリューワリーズについて、WSJは関係者の話として「アサヒGHDが関心を示している」と報じている。実現すれば売却額は数千億円にのぼるとの見方がある。
インベブは2016年に当時世界2位の英SABミラーを買収し、1000億ドル以上の負債を抱えた。世界でビール業界の競争が激化するなか、成長に向けて新興市場などでのM&A(合併・買収)を増やすには財務体質の改善が急務。韓国や豪州でのシェアは高く、事業は安定しているが、今後の成長余地などを考慮して売却の候補となっているもようだ。