「不当な経済報復」と撤回要求 韓国大統領
【ソウル=恩地洋介】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は18日、与野党5党の党首と日本の対韓輸出規制の強化について協議し、日本の措置が「不当な経済報復」だとして即時撤回を求める考えで一致した。そのうえで日本政府に外交的解決を要求する方針を確認した。政府と与野党が「抗日」を名分に協調を演出した構図だ。
文大統領と与野党の全党首が会談するのは2017年5月の文政権発足後、2回目となる。経済政策や外交姿勢を巡り対立を深める与野党が結束するほど、日本の措置への衝撃は大きい。韓国大統領府報道官によると、文氏は会談で元徴用工問題について「被害者の受け入れ可能性と、国民の共感がなければならない」と強調。「反日感情は全く持っていない」とも語ったという。
各党の報道官によると、大統領と5党党首は日本の措置について「自由貿易秩序に反する不当な経済報復だ」との認識で一致。安全保障上の友好国として規制を緩和する「ホワイト国」から韓国を除外する日本の方針について「韓日関係と北東アジアの安保協力を脅かす」として、日本に外交解決に動くよう求めた。
会談では革新系の与党が日本の措置を「経済侵略」と呼び、糾弾決議案の採択を提案するなど強硬姿勢を示した。「共に民主党」の李海●(たまへんに贊)(イ・ヘチャン)代表は「この経済戦争は簡単には終わらない」と述べ、日本に譲歩すべきでないとの姿勢を強調した。
一方、保守系野党は文政権の外交姿勢を批判し、対話による解決を求めた。自由韓国党の黄教安(ファン・ギョアン)代表は「政府は何の対策もなしに国民感情に訴えている。最高裁の判決から8カ月間、日本を巡る警告を無視して対応できなかったのは明らかな誤りだ」と指摘。外交責任者を問責するよう求め、早期に日韓首脳会談を開催して解決をはかるよう訴えた。