経常収支の不均衡「即座に是正を」 IMFが警鐘
【ワシントン=鳳山太成】国際通貨基金(IMF)は17日、経常収支の不均衡に関する年次報告書を発表した。2018年は全世界合計でわずかに縮小しつつも、米国やドイツなど先進国を中心に過剰な経常赤字や黒字が残っていると指摘した。貿易摩擦がさらに悪化して世界経済の重荷になる恐れがあり、即座に不均衡の是正に取り組むよう各国に呼びかけた。
全世界の経常黒字・赤字の合計は国内総生産(GDP)比3%で金融危機前の07年(6%)に比べると低下した。財政拡大を進めた中国の赤字が0.4%と1ポイント超縮小した。米国の赤字は2.3%で変わらなかった。ユーロ圏や日本で黒字がわずかに縮小した。
トランプ米大統領は貿易赤字に不満を表し、中国や日本への圧力を強めている。報告書は「2国間の貿易収支のため関税を使うのは控えるべきだ。一般的に対外不均衡の縮小にはつながらない」として自由貿易を重視するよう促した。
過剰な不均衡を放置すれば、貿易や地政学上の緊張がさらに高まった場合に、外需や外国からの借り入れに依存する国に悪影響を及ぼすと警告した。さらにトランプ政権に代表されるように保護主義が広がって貿易摩擦が一段と強まるとしている。