韓国、輸出規制で総合対策検討 米に再び協力要請
【ソウル=恩地洋介】韓国の洪楠基(ホン・ナムギ)経済副首相兼企画財政相は17日、日本の対韓輸出規制の強化に対応する総合対策を近く発表すると表明した。康京和(カン・ギョンファ)外相らは来韓した米高官に日本の措置撤回へ協力を働きかけたもようだ。
洪氏は日本の規制強化を「グローバル供給網を弱め、世界経済の成長を制約しないか憂慮される」と非難した。国内企業の被害を最小化することが最優先だと述べ、半導体材料の日本依存度を下げ、産業競争力を確保するための総合対策を準備中だとした。
総合対策の内容には触れなかったが、企業支援のための補正予算案の計上や、規制緩和措置が軸になるとみられる。政府内では、半導体の材料や製造装置の国産化支援に年1兆ウォン(約920億円)を支出する案が浮上している。ただ、短期間で技術格差を埋める効果を上げるのは難しいとの見方が強い。
同日、大統領府の金鉉宗(キム・ヒョンジョン)国家安保室第2次長と康外相はそれぞれ、訪韓中のスティルウェル米国務次官補と会談した。会談後、金氏は「輸出規制の深刻性について理解を得た」と記者団に語った。一方、スティルウェル氏は「日韓は敏感な問題の解決を急ぐ必要がある。できる限りの支援はする」と述べたが、積極介入の意志は示さなかった。
韓国は国際社会に日本の措置の不当性を訴える構えだ。23~24日に開く世界貿易機関(WTO)の一般理事会で「世界経済全体に悪影響を及ぼす」と主張するとみられる。
韓国大統領府は保守系メディア批判まで繰り出し始めた。大統領府報道官は17日の記者会見で大手の朝鮮日報、中央日報の日本語版サイトの見出しや内容が韓国政府に批判的だと指摘し「韓国国民の声を反映しているのか問いたい」などと注文を付けた。