慶応大など日米英6大学、セキュリティー分野で連携
慶応義塾大学は11日、日本・米国・英国の6つの大学の間でサイバーセキュリティーの研究や教育、政策提言などに関する「チャーター(設立趣意)合意」を結んだと発表した。協定を結んだのは慶応大、九州大学、米メリーランド大学ボルティモアカウンティ校、米ノースイースタン大学、英ロンドン大学ロイヤルホロウェイ校、英インペリアル・カレッジ・ロンドンの6校。4日までに各大学の学長が合意書に署名した。
合意の目的は、慶応大が主導して2016年11月に創設したサイバーセキュリティーに関する国際連携組織「インターナショナル・サイバーセキュリティー・センター・オブ・エクセレンス(INCS-CoE)」の活動を強化することだ。
日立や富士通、NECなどがサポート
サイバー空間の安全や安心を守るには、国境や組織を超えた連携が不可欠だ。こうした問題意識から、慶応大の呼びかけで、米スタンフォード大学や英オックスフォード大学、東京大学などの有志が参加したINCS-CoEが発足した。
現在はスマートシティーや人工知能(AI)といったテーマで6つのワーキンググループが活動している。産官学が国際的に協力してサイバーセキュリティーという社会課題を解決するため、大学という「中立的な場」を生かす考えだ。日立製作所や富士通、NECなどが同活動をサポートしている。
チャーター合意の締結とともに、INCS-CoEの理事会メンバーに慶応大大学院政策・メディア研究科の手塚悟特任教授や九州大の岡村耕二教授など6大学でサイバーセキュリティーを専門とする教授が就いた。
「学長が署名した法的合意にまで踏み込むのは珍しく、サイバーセキュリティーという分野を各大学が重視していることの表れだ。今後はINCS-CoEとして、各国政府や企業と協力しながら、さらに大きなプロジェクトを手がけたい」。INCS-CoEの発起人であり、理事会の議長となった手塚特任教授はこう意気込む。
(日経 xTECH/日経コンピュータ 外薗祐理子)
[日経 xTECH 2019年7月11日掲載]